monitis で Webサイトの安定性をチェック



これまで PHP benchmarkPHPspeed というスクリプトを利用して PHP 関連のベンチマークテストを、ApacheBench というベンチマークツールを利用して Webサーバーのパフォーマンスを確認しました。

今回は、Webサイトが実際にどのくらい安定して表示されているかという点を、monitis というオンラインツールでチェックしてみました。


monitis とは?

monitis は、無料でサーバーの各種機能を監視することができるオンラインツールです。(英語サイト)

monitis では名前やメールアドレスなど、ごく簡単な内容を登録するだけで、非常に幅広い機能を無料で使えるようになります。無料の場合は、監視できる数に限りがあったりなど、一部機能は限定されますが、個人が利用する少数のレンタルサーバーを確認する程度であれば十分です。

monitis には、今回実施した Webサーバーの監視以外にも、メールサーバー(POP・IMAP・SMTP)や FTPサーバーの監視が簡単にできたり、サーバーに専用のツールをインストールしてサーバーの CPU やメモリの状況などをチェックするなど、とても使いきれない程たくさんの機能があります。



今回は Webサーバーが安定してサイトの表示をしてくれているか、という点をチェックするために、HTTP リクエストのモニタリングをしてみました。

ちなみに、「HTTP リクエスト」とは、ブラウザに URL を入力して Webサイトを表示しようとしたときに、ブラウザから Webサーバーにサイトの内容を送り返すように要求する命令のことです。この命令に対して、正常に応答があれば、Webサーバーが正常に動作しているということがわかります。


monitis で行ったモニタリングの詳細

Webサイトの安定性のチェックを実施するにあたり、まず各社のサーバーに同じコンテンツの WordPress サイトを作成しました(前回の ApacheBench の際にも使用したものです)。

その WordPressサイトを monitis に設定し、以下の条件でモニタリングを実施しています。



・HTTPリクエストを 1分毎に Webサーバーに送信
・日本とアメリカの 2か所からリクエストを実施
・約一週間の各社データを比較



ちなみに、リクエストを送ってきたサーバーのIPアドレスをチェックしたところ、日本は東京の新宿(Amazon のクラウドを使用している様子)、アメリカはジョージア州のアトランタからリクエストが送られてきていました。

以上の条件で HTTP リクエストに対する Webサーバーからの応答の状況をモニタリングします。

ここでチェックできるのは、主にレスポンスの速さと安定性。HTTP リクエストに対してどのくらいの速度でレスポンスを返せているか、また応答速度にどれくらい変化がみられるか、さらにどれだけミスなくレスポンスを返し続けられているか、という点です。



なお、厳密にいうと「HTTP リクエストに対して応答がある=Webサイトが正常に表示されている」というわけではありません。

実際に閲覧した時にはサイトの内容が表示されず、一部のエラーが表示されていても、Webサーバー自体は応答しています。そのため、「Web サーバーが正常に稼働して、閲覧者からのリクエストに対して応答を返しているか」、という点をチェックしている、というのが正確です。


モニタリングの結果

では早速、実際に行ったモニタリングの結果を、レンタルサーバーごとに見ていきましょう。

モニタリングの結果はグラフになっていて、縦軸が応答時間(単位は ms(ミリ秒))、横軸が時系列(薄い縦棒が日の区切り)になっています。

また、線の色やポイントに関しては、以下のような意味です。

・紫の線:日本からの応答状況
・茶色の線:アメリカからの応答状況
・赤い点:Webサーバーからの応答を受け取れなかったポイント

なお、画像をクリックすると拡大して見ることができます。また、拡大した画像は、ブラウザの戻るボタンで本文に戻れます。


カゴヤ

カゴヤのWebサーバーからの応答状況

まずは、他のベンチマークの結果でも3位以内に入ってきた、優秀なサーバーであるカゴヤの Webサーバーの状況から見てみましょう。

日本の応答状況である紫の線(上の線)を見ると、応答時間はおおむね 5,000ms(ミリ秒)、ほとんど横ばいで上下動がありませんので、負荷などに対しての安定性は高いです。

また、下のアメリカの応答では 3か所ほど応答が返らなかったポイントがありますが、日本では 0回です。そのため、継続的に安定して Webサーバーが稼働できていることを示しています。


ABLENET

エイブルネットのWebサーバーからの応答状況

次はエイブルネットのパーソナルスイートです。

こちらも応答時間は 5,000ms 強。上下動がほとんどなく、また応答がなかったのもアメリカの 1回のみです。

エイブルネットは、安定性においてユーザーからの評価が高いだけあり、その実力をきっちり示してくれました。


WebARENA SuiteX

WebARENAのWebサーバーからの応答状況

次は大手 NTT 系列の NTT PC コミュニケーションズが提供する、WebARENA SuiteX スタンダード。

こちらも応答時間は 5,000ms を少し超えるくらい。小さな上下動はありますが、安定性は十分です。応答がなかったのも、日本ではたったの 1回だけに抑えられています。

さすが大手の実力を見せてくれました。


SpeeVer(スピーバー)

スピーバーのWebサーバーからの応答状況

次は独自のサービス形態を持つ、スピーバー。

応答時間は少し伸びて、6,000ms の手前です。上下動はほぼありませんが、応答なしの回数が 4回ほどありますね。それでも十分安定しているといえます。


ロリポップ

ロリポップのWebサーバーからの応答状況

次はロリポップのエンタープライズプラン。

応答時間は 5,000~6,000ms の間を行き来しており、時折上下動はありますが、6,000に届かないくらいで収まっています。応答なしも 5回程度とまずまずといったところです。

さすがにビジネス向けのエンタープライズプランだけあって、安定稼働を実現できているようです。


iClsuta+(アイクラスタプラス)

アイクラスタのWebサーバーからの応答状況

次は業界最大手の GMO グループ、GMO クラウドの iCluta+。

さらに少し応答時間が伸びて、6,000ms 前後を上下しています。少し上下動の波が出ていますが、応答なしの回数は 3回程度と、安定度は高めです。

GMO クラウドは安定性を売りにしているだけあり、それなりの結果を出せていると言えます。


さくらインターネット

さくらインターネットのWebサーバーからの応答状況

続いて、さくらインターネットのプレミアムプラン。

応答速度は 5,500ms 近辺を安定して稼働しています。これまでのサーバーと比べると応答なし回数が少し増えていますが、短期間に集中しているわけではないので、サーバー全体の負荷が高まった影響で応答なしになったわけではないと思います。


Bizメール&ウェブエコノミー

Bizメール&ウェブエコノミーのWebサーバーからの応答状況

次は、通信業界の大企業である NTT コミュニケーションズ提供の Bizメール&ウェブエコノミー。

さすがの大手だけあって、応答速度は 5,500ms の少し上を行くくらいで、ほぼ直線に近い横ばいです。しかし、応答なしの回数がここまでの他のサーバーと比べるとぐんと増えています。


heteml(ヘテムル)

ヘテムルのWebサーバーからの応答状況

次はロリポップと同じ GMO ペパボ提供のヘテムル。

応答速度は 5,500ms の少し手前で、こちらもほぼ直線に近い横ばいです。しかし、やはり応答なしの回数が多いですね。夜間帯が多めではありますが、それ以外の時間帯にも応答なしの状況が見られます。


Clouver(クローバー)

クローバーのWebサーバーからの応答状況

続いて、ネットオウルのクローバー。

こちらは応答速度が 5,000ms を少し超えるくらいが中心ですが、hetemlに比べると少し上下動があります。

応答なしの回数も多いのですが、時間帯的には夜間帯に集中していますね。一方、アメリカでは応答なしが発生していませんので、基本的には安定感が高いのかもしれません。


WADAX(ワダックス)

WADAXのWebサーバーからの応答状況

次は WADAX。

一見してわかるように、他社と比べて非常に上下動が激しくなっています。応答速度も 5,500ms 前後が基本の能力だと思われますが、最高で 7,000ms 付近まで遅れています。

上下動と応答なしが激しくなっている部分では、明らかに一時的な負荷が高まった影響で起こっている現象のように見えますが、高負荷時以外でもそれなりに上下動や応答なしが発生しているので、安定度は低めだと言えます。


エックスサーバー

エックスサーバーのWebサーバーからの応答状況

続いて、エックスサーバーです。

上下動が激しいので、今までで一番不安定だ!・・・・と思うかもしれませんが、縦軸の応答速度を見てみると・・・、なんと 1ケタから 2ケタも低い数値になっています。

エックスサーバーは、リクエストから 50~150ms の間に応答できているので、他社と比べると圧倒的な速さを見せていることがわかりますね。

応答速度が速すぎるために縦軸のメモリ幅が拡大されているので、その分だけ上下動が激しく見えてしまっているだけです。他社と同じ間隔にすれば、ほとんど直線の横ばいを示すでしょう。

しかも、ここまでの他社はすべてアメリカのサーバーのほうが応答を早く受け取っていたのですが、エックスサーバーは日本のグラフのほうが下にあります。また、応答なしの回数は日本・アメリカともに「0」。特筆すべき応答速度と安定感を見せています。


お名前.comレンタルサーバー

お名前.comレンタルサーバーのWebサーバーからの応答状況

ラストは、お名前.comレンタルサーバー。

こちらが本当の意味で最も上下動が激しいサーバーです。

実はエックスサーバーと同様に、応答速度は非常に早く、日本のサーバーのほうが応答を早く受けています。また、最速の応答も 400msと非常に速い数値が出ています。

ただ、最長の値は 4,000ms の手前にまで達し、応答なしの回数も他社と比べて圧倒的に多いです。ちょうどお昼の時間帯あたりを抜かすと、ほぼ一日中に応答なしが発生していますので、非常に不安定と言わざるを得ません。


HTTP リクエストに対する応答状況一覧

以上の応答速度と応答状況を一覧表にまとめてみました。

各項目でばらつきが大きいのと各項目のバランスがとりにくいので総合評価が少し難しかったのですが、「応答速度の速さ」・「安定度(応答速度のブレ)」・「応答なしの回数」と分けてややざっくりめに評価し、それをもとに順位付けをしてあります。



最速(ms) 最長(ms) 差分(ms) 応答なし回数(日本) 順位
エックスサーバー 40 147 107 0 1
カゴヤ 5,108 5,204 96 0 2
ABLENET 5,235 5,280 45 0 2
WebARENA 5,289 5,578 289 1 4
さくら プレミアム 5,536 5,730 194 10 4
ロリポップ 5,276 5,999 723 5 4
SpeeVer 5,587 5,903 316 4 4
iClusta+ 5,643 6,168 525 3 4
Bizメール 5,676 5,913 237 19 9
heteml 5,297 5,574 277 27 10
クローバー 5,107 5,334 227 40 10
お名前.com 405 3,118 2,713 57 12
WADAX 5,228 6,796 1,568 44 13



応答速度で行くとエックスサーバーとお名前.comが、他社よりも圧倒的に速いです。

また、応答なしの回数ではエックスサーバー、カゴヤ、エイブルネットが非常に安定しています。逆に、お名前.com、WADAX あたりが特に応答ミスが多く、不安定な傾向があります。

お名前.com は非常に応答速度が速いのに、安定度がかなり低いのでとても残念な結果になりました。


Webサーバーの安定度チェックのまとめ

以上、monitis による Webサーバーの安定度チェックの結果でした。

これまで実施した他のパフォーマンスに関しては上位に食い込んでいた WADAX ですが、一時的な負荷の影響もあってか、ここでは残念な結果に終わりました。

逆に、同じく他のベンチマークで高評価を上げていた、エックスサーバーカゴヤについては、いずれも高い安定度を示しました。やはり、この二社は特におすすめですね。

また、NTT 系列の大手 2社も安定感という点では高い能力を示していますが、Bizメール&ウェブエコノミーに関しては応答ミスが割と多かったですね。他のベンチマークを実施していても、確実に応答はあるのですが、応答するまでの時間が他社と比べてもダントツで遅いイメージがありました。やはり NTT 系列で選ぶなら WebARENA がおすすめです。