ポップなビジュアルで、若い層を中心に人気の高い「GMOペパボ株式会社」が提供するレンタルサーバーである、「ロリポップ!」と「heteml(ヘテムル)」。わかりやすさ、使いやすさという点でも、非常に高い評価を得ています。
元々は「低価格帯のロリポップ!」、「高機能で上級者向けの heteml」という形で差別化していた 2つのサービスですが、ロリポップ!が同じ価格帯のプランをリリースしたことや、サーバーのスペックやサービスの変化などにより、heteml の位置づけが微妙になってきました。
では、今ネットビジネスで利用するとしたら、ロリポップ!と heteml、どちらのレンタルサーバーがいいのでしょうか。
今回は同じ会社のサービスである、「ロリポップ!」と「heteml」のサービスからサーバーのパフォーマンスの詳細まで、独自調査データを交えて徹底比較してみました。
現時点の結論としては、以下のとおりです。
では、具体的に比較した内容の詳細を見ていきましょう。
heteml とロリポップ!のスペック~サービスの詳細を比較
まずは、hetemlとロリポップ!(エンタープライズ)の主なサービス概要の違いから見ていきましょう。
ここでは、ちょうど価格帯が被る月額 500円~1,000円台のプランを比較します。
ロリポップ! (スタンダード) |
heteml (ベーシック) |
ロリポップ! (ハイスピード) |
heteml (プラス) |
|
月額費用(税抜) | 500円~ | 800円~ | 500円~ | 1,600円~ |
初期費用(税抜) | 1,500円 | 2,000円 | 無料 | 2,000円 |
ディスク容量 | 150GB | 200GB | 250GB | 300GB |
マルチドメイン数 | 100個 | 無制限 | 無制限 | 無制限 |
データベース数 | 30個 | 70個 | 無制限 | 100個 |
転送量 | 200GB/日 | 160GB/日 | 600GB/日 | 200GB/日 |
お試し期間 | 10日間 | 15日間 | 10日間 | 15日間 |
同じ会社とはいえ、別々のサービスではあるのですが、おおむね料金とスペックは比例する形になっていました。
しかし、2020年8月のロリポップ!リニューアルに伴い、ハイスピードプランが初期費用無料+月額最低料金が500円~になりました。さらに料金だけではなく、スペック的にも heteml の上位プランであるプラスを超えていますので、もう比較しても意味がない感じになっています。
現状は、完全にロリポップ!「ハイスピード」プランの独り勝ちです。
Web サイトの表示の際に、サーバーから閲覧者の PC に向けて送られるデータ量のこと。Web サイトへのアクセス数が多く、この転送量の上限をオーバーすると、アクセスが遮断され、サイトが閲覧できなくなってしまう可能性がある
サーバースペックの違いをチェック
次に、サーバー周りのスペックの違いをチェックしてみましょう。
ロリポップ! (スタンダード) |
ロリポップ! (ハイスピード) |
heteml | |
Webサーバーソフト | Apache(アパッチ) | LiteSpeed(ライトスピード) | Apache(アパッチ) |
記憶媒体 | オールSSD | オールSSD | オールSSD |
データベース | MySQL | MySQL | |
CPU | 非公開 | 非公開 | |
メモリ | 非公開 | 非公開 | |
PHP | CGIモード/モジュールモード | LiteSpeed版 | CGIモード/モジュールモード |
高速化機能 | HTTP/2・ロリポップ!アクセラレータ・コンテンツキャッシュ機能 | HTTP/2・コンテンツキャッシュ機能 | |
アクセス増対策 | ○(同時アクセス数機能拡張(ブースト機能)) | なし |
CPU やメモリなどのスペックに関しては、どちらも非公開のため不明です。
その他の機能に関しては、ロリポップ!のハイスピードが最新のプランだけあり、より高いスペックを持っており、ロリポップ!と heteml のいいところどり+αといった感じで、頭一つ抜けている印象です。
特に土台になるサーバーソフトが LiteSpeed に変わっている点によって、実際のパフォーマンスに差が出そうです。
その他の主なサービスの違い
次に、その他の仕様の中で違いがみられるものや、重要な機能やサービスと思われるものをいくつかピックアップし、比較してみました。
ロリポップ! | ロリポップ! (ハイスピード) |
heteml | |
無料独自SSL | ○(Let’s Encrypt) | ○(Let’s Encrypt) | |
WAF(Webアプリケーションファイアウォール) | ○ | ○ | |
バックアップ | △有料(Web/メール/データベース) | 〇無料(※保存期間などは不明) | 〇無料(Web/メール:7日間、データベース:14日間) |
バックアップからの復元 | ○(無料) | △(有料) | △(有料) |
プラン変更 | ○(上位) | ○(上位) | |
電話サポート | △(スタンダード以上)・チャットサポートは全プランあり | ○ | |
アダルトサイト | × | × | |
データセンター | 国内 | 国内 | |
お試し期間 | 10日間 | 15日間 | |
キャンペーン | 初期費用無料など | 初期費用無料など |
こちらについては、ほぼサービスに差はありません。
あるとすれば、ロリポップ!のハイスピードに無料バックアップがついていること、お試し期間が heteml のほうが長いといったあたりだけです。
各サーバーのパフォーマンスを比較
では、次に各サーバーの実力を比較してみましょう。サーバーの性能はスペックだけではわかりません。そのため、実際に各サーバーを使用して検証を行った結果をもとに、実際の能力差を見てみたいと思います。
比較に使用するのは、当サイトで独自に調査したデータで、サーバースペックが異なる 3つのプランロリポップ!「スタンダード」・ロリポップ!「ハイスピード」・heteml「ベーシック」を使用した結果です。
(※ 2020年3月の計測データを基にしています。)
サーバーの安定性を比較
まず、サーバーで最も重要な「安定性」からチェックします。
調査は Webサーバーの監視ツール「monitis」を利用したもので、約 7日間× 7か月間に渡ってサーバーからの応答状況(安定性)と応答速度をモニタリングした結果(ハイスピードのみ 4か月)を比較します。
「応答速度」は、外部からサーバーに対してサイトのデータを送るよう命令を送った際(HTTPリクエスト)に、どのくらいで応答を返してきたかを計測したもので、数値が小さいほうが応答は速いため、より良いサーバーということになります。
また、「応答なし回数」は、リクエストを送ったにもかかわらず、サーバーから応答がなかった(または、かなり遅かった)、つまり Webサイトの表示ができなかった可能性があると考えられますので、応答なしの回数が少ないほうが安定性の高いサーバーといえます。
Webサーバーの応答状況(安定性)と応答速度
応答なし回数 | 平均応答速度 | |
---|---|---|
ロリポップ! 「スタンダード」 |
11.9 | 324.7 |
ロリポップ! 「ハイスピード」 |
37.0 | 315.8 | heteml 「ベーシック」 |
16.0 | 364.4 |
※無断転載禁止
安定性に関しては、3つのプランでほとんど差はありません。
あえて言うなら、ハイスピードがやや応答なし回数が多いので、そこはちょっと気になるところです。
WordPressの表示速度を比較
次に、各サーバーに設置した WordPressサイトの表示速度を比較してみます。表示速度の計測には、同じく monitis を使用しています。こちらも約 7日間× 7か月間に渡る調査結果(ハイスピードのみ 4か月)です。
結果の数値については、小さいほうが速く表示できるということを意味しますので、数値が小さいほうがより良いサーバーということになります。(計測に使用したWebサイトのデータは共通)
WordPress の表示速度
平均表示速度 | |
---|---|
ロリポップ! 「スタンダード」 |
3.39 |
ロリポップ! 「ハイスピード」 |
3.00 | heteml 「ベーシック」 |
3.22 |
※無断転載禁止
表示速度に関しては、ハイスピードで良い結果が出ており、名前の通り速度重視のプランであることがわかります。
この速度を維持できるとすると、他社サーバーと比較しても最上位に食い込める成績のため、速度に関してはかなり期待できるようです。
まとめ
以上、heteml とロリポップ!の仕様・サービスから、実際のパフォーマンスまでを比較してみました。同じ会社のサーバーということもあり、以前は仕様上は似ている点が非常に多く、決定的な違いも多くはありませんでした。
しかし、2020年8月のロリポップ!全プランリニューアルに伴い、ロリポップ!のハイスピードプランが初期費用無料+月額料金 500円~という価格設定に加え、heteml の上位プラン(プラス)と同等以上のハイスペックになったため、ハイスピードの独走状態になりました。
実際のパフォーマンスもハイスピードが高いため、現在選ぶのであればロリポップ!ハイスピードプラン一択と言えるでしょう。
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