ロリポップ!の全プランの性能をベンチマークで徹底比較



初心者からネットビジネスオーナーまで、多くのユーザーに愛用されている格安レンタルサーバーである、ロリポップ!。近年は「格安」「初心者向け」というイメージを払しょくし、より幅広い層のユーザーに対応するよう、サーバー環境の刷新やイメージアップに努めています。

現在、ロリポップ!には、月額100円で利用できる「エコノミー」プランから、法人向けの「エンタープライズ」プランまで、全部で 4つのプランが用意されていますが、はたして 4つのプランに性能の違いはあるのでしょうか?

今回は、ロリポップ!のプランの毎の性能の違いを、各種のベンチマークツールなどを利用して実測し、徹底的に比較してみたいと思います。


ロリポップ!の 4つのプランの違いとは?

ベンチマークで比較する前に、まず 4つのプランのサービスやサーバーのスペックの違いについて、ざっと見てみましょう。

細かい仕様などの違いについては、ロリポップ!の公式サイトを見ていただくとして、ここでは各プランの違いによって、何ができたりできなかったりするのか、その概要をわかりやすく説明してみたいと思います。


プラン毎にできること・できないこと

ロリポップ!の場合、プラン毎にディスク容量が大きく異なっていたり、使用できるデータベース数が違うなどの差がありますが、ざっくりとサービス上でできることと、できないことの違いを比較してみたいと思います。


月額料金 独自ドメイン WordPress 転送量 電話サポート バックアップ
エコノミー 100円 20個 × 40GB/日 × 有料
ライト 250円 50個 1 60GB/日 × 有料
スタンダード 500円 100個 30 100GB/日 有料
エンタープライズ 2000円 無制限 100 無制限 無料



以上のように、独自ドメインの設定できる数(=サイトの作成可能数)や WordPress の設置可能数(データベース数)などに違いがあります。また、サービス面では電話サポートが使えるプランと使えないプラン、有料オプションであるバックアップが無料になるプランなどがあります。

その他に関しては、細かい点を除き、ほぼ同じことができますので、プランを選択するときはこれらの点を中心にチェックするといいでしょう。


プラン毎のサーバーのスペックに違いはあるか?

一方、肝心のサーバー自体の仕様ですが、プランによってサーバースペックの違いはありません

ロリポップ!では、ユーザー自身が使用しているサーバーの具体的なスペック(使用している CPU やメモリの容量など)は確認できませんが、「エコノミー」も「エンタープライズ」も同じ CPU とメモリを使っていますので、サーバーの性能自体には違いはありません。



レンタルサーバーのプラン変更に伴う収容サーバー・収容人数の変化比較



一方、プランを変更すると、収容サーバーも変更されるようになっているので、サーバーに収容される人数はプラン毎にはっきり異なるということ、またおそらくその収容人数は最適化されているため、それほど余裕はなく、結構キッチリと詰め込まれた人数だということが想像できます。

つまり、安いプランであれば収容人数が多く、高いプランであれば収容人数は少ないとハッキリわかれている、ということですね。あくまでイメージですが、以下のようにキッチリ決められているということです。


  • エコノミー:400ユーザー
  • ライト:200ユーザー
  • スタンダード:100ユーザー
  • エンタープライズ:50ユーザー



同じサーバースペックであれば、収容人数が少ないほど CPU やメモリなどのリソースを利用できる範囲が大きくなるため、他のユーザーの影響は受けにくく、動作は安定しますし、処理速度も速くなります。(もちろん、あくまで共用サーバーなので、必ずしも想定通りに動作するとは限りません)

では、実際に上位プランに行くほど、安定性や処理速度が向上するのか、各種ツールで確認したデータを見ていきましょう。


ロリポップ!のサーバーパフォーマンスをベンチマークツールでチェック

では、早速ロリポップ!の各プランにおける、サーバーパフォーマンスがどのくらいかを、各種のベンチマークツールでチェックし、比較してみましょう。

比較するデータは、当サイトのランキング評価のもとにもなっている、以下の内容です。(カッコ内は利用したツール)


  • Webサーバーの安定性(Monitis)
  • PHP のパフォーマンス(PHP Benchmark、PHPspeed)
  • データベースのパフォーマンス(PHPspeed)
  • Webサーバーのパフォーマンス(ApacheBench、PHPspeed)
  • サイトの表示速度(GTmetrix)



また、エコノミープランに関しては、データベースが利用できないため HTML サイトでの計測とし、他のプランは WordPress サイトで計測しています。(エコノミーでも SQLite は利用できるため、WordPress の設置は一応可能ですが、通常は使わないと思われるため)



まずは、Webサーバーの安定性(Monitis)のデータから見ていきましょう。


Webサーバーの安定性

Webサーバーが安定してサイトの表示をしてくれているか、という点をチェックするために、サーバーの死活監視を行える Montis というサービスで、HTTP リクエスト(Webサイトの表示をするためのやりとり)のモニタリングをしました。

モニタリングの結果はグラフになっていて、縦軸が応答時間(単位は ms(ミリ秒))、横軸が時系列(薄い縦棒が日の区切り)になっています。(グラフの画像をクリックすると拡大して見ることができます。また、拡大した画像は、ブラウザの戻るボタンで本文に戻れます)



また、線の色やポイントに関しては、以下のような意味です。

  • 紫の線:日本のサーバーへの応答状況
  • 赤い点:Webサーバーからの応答を受け取れなかったポイント

応答時間が速く、応答なし回数が少ないほうがより安定性が高いと言えるため、グラフの位置が下で、上下動が少なく、赤丸が少ないほうが安定しているということになります。



なお、この monitis のエンタープライズの結果は、前回他社サイトと比較した際に調査を行った時の結果です。(他のベンチマークは、すべて他のプランと同日に実施)

他社サーバーを含めた、検証の詳細記事はこちら(Webサーバーの安定性と応答速度をツールで比較(monitis)【2017年版】

エコノミー

ロリポップ!「エコノミー」のWebサーバーの安定性

ライト

ロリポップ!「ライト」のWebサーバーの安定性

スタンダード

ロリポップ!「スタンダード」のWebサーバーの安定性

エンタープライズ

ロリポップ!「エンタープライズ」のWebサーバーの安定性


応答なし回数 応答速度(最速) 平均応答速度
エコノミー 4 9 77
ライト 1 354 521
スタンダード 1 147 265
エンタープライズ 22 180 612
他社平均 9 385 710



まず、エコノミーに関しては、格段に応答速度が速いですが、これはプランの性質上、データベースを使用することができないため、単独の HTML サイトゆえに処理が非常に軽い、ということが大きく影響しています。他のプランは、すべて WordPress サイトで計測しているため、条件が異なります。

決してエコノミーのサーバーの能力が高いわけではありませんので、エコノミーに関しては、あくまで参考値として見てもらえればと思います。これは、他のベンチマーク結果も同様です。



残りのプランを比較してみると、決して上位のプランが安定性が高いというわけではない状況です。上に書いたように、エンタープライズに関しては継続日が違うため、同日に調査していれば、また違った結果が出ていた可能性はありますが、仮にそうだとしても、別の日には他のプランよりも悪い結果が出る可能性があるというようにも言えます。

そういう点からいっても、やはり必ずしも上位プランだからと言って、安定性が高いと言い切ることはできない、と言っていいでしょう。


PHPのパフォーマンスチェック

PHP の処理のパフォーマンスを測定するスクリプト「PHP Benchmark」と、PHP 単独の処理だけではなく、MySQL を利用した場合のパフォーマンスをチェックしたり、データの読み書きテストなども含めた、全部で 6つのテストを実施できる、「PHPspeed」を使用したベンチマークテストの結果です。

測定は、前回のデータと比較するため、同じ PHP5.6 にて行いました。数値とパフォーマンスの関係は、以下のように異なります。

  • PHP Benchmark:値が小さいほうがパフォーマンスが高い
  • PHPspeed(Synthetic PHP BenchMark と Real World PHP Test):値が大きいほうがパフォーマンスが高い



前回実施した測定の詳細記事はこちら(PHPのパフォーマンスをベンチマークテストで比較【2017年版】(PHP Benchmark/PHPspeed)


PHP benchmark Synthetic PHP BenchMark Real World PHP Test
エコノミー
ライト 27.3 9742 12758
スタンダード 27.6 11468 11708
エンタープライズ 23.1 9149 11258
他社平均 29 10398 11095



こちらも、各項目によって若干の差はあるものの、いずれのプランでも他社平均と同等の結果が出ており、上位プランのほうがよい、というハッキリした結果は見えません。

しいていえば、逆にエンタープライズが他より若干劣っているように見えますね。


データベースのパフォーマンスチェック

上でも使用した、「PHPspeed」のデータベースに関する 2つのテスト(Synthetic MySQL Test と Real World PHP w/ MySQL Test)の結果です。

ここで、利用するデータベースは MySQL で、共用サーバーでは WordPress と組み合わせて使われているデータベースの中で、圧倒的にシェアが高いものです。どちらも、値が大きいほうがパフォーマンスが高いです。

前回実施した測定の詳細記事はこちら(データベースのパフォーマンスをベンチマークテストで比較【2017年版】(PHPspeed)


Synthetic MySQL Test Real World PHP w/ MySQL Test
エコノミー
ライト 3893 7293
スタンダード 3583 7097
エンタープライズ 3828 6146
他社平均 4,277 6,263



こちらもおおむね平均値ではあるものの、実環境テスト(Real World PHP w/ MySQL Test)の結果が、エンタープライズだけが平均より若干低いのが気になりますね。


Webサーバーのパフォーマンスチェック

次は、Webサーバーのパフォーマンスを確認する ApacheBenchPHPspeed のテスト結果です。

ApacheBench はWebサーバーのソフトとして広く利用されている Apache に組み込まれている Webサーバーの性能を測定するための負荷テストツールです。一方、PHPspeed では、PHP や データベースを含むサーバーの処理速度を総合的に測定するテストである、「Server Benchmark」の結果を見ます。

いずれの結果も、値が大きいほうがパフォーマンスが高いです。

前回実施した測定の詳細記事はこちら(Webサーバーのパフォーマンスをベンチマークテストで比較【2017年版】(ApacheBench/PHPspeed)


HTTP Requests per second PHP Requests per second Server Benchmark
エコノミー 303.75
ライト 371.08 365.16 4459
スタンダード 392.68 351.76 4625
エンタープライズ 386.84 360.62 4029
他社平均 370 58 4037



こちらは全体的に平均値よりもいい結果が出ています。ロリポップ!と heteml は、ApacheBench の PHP の結果がいつもいいので、当然と言えばそうですが、PHPspeed の Server Benchmark の結果もいい数字が出ています。

ただ、こちらもエンタープライズがほぼ平均に留まっており、精彩を欠いている感じですね。


WordPressサイトの表示速度比較

最後は、サイトの速度に関するパフォーマンスを確認できる GTmetrix を使用した、WordPress サイトの表示速度の比較です。

この検証では、WordPress で作成したサイトのページの読み込み速度を比較します。読み込み時間が少ないほうが速いため、「Page Load Time」の値が小さいほうがパフォーマンスが高いと言えます。



前回実施した測定の詳細記事はこちら(WordPressサイトの表示速度をレンタルサーバー各社で比較【2017年版】(GTmetrix)


Page Load Time
エコノミー 1.4
ライト 1.5
スタンダード 1.3
エンタープライズ 2.1
他社平均 2.7



こちらのエコノミーも単独の HTML ファイル、他のプランは WordPress のサイトで計測しています。

エコノミーの表示速度は当然速いですが、WordPress のようにデータベースの処理が絡まないにも関わらず、他のプランとほぼ同じ結果しか出ていないことを考えると、やはりそれなりの能力しか出ていないように思います。

そして、他社の平均よりもいいとはいえ、エンタープライズがここでも他のプランに 0.6 秒以上の差をつけられてしまいました。


ロリポップ!の全プランをベンチマークで徹底比較まとめ

以上、ロリポップ!の全4プランをベンチマークテストなどのツールで、そのサーバー能力を検証して、比較してみました。

サーバーのスペック自体が同じということもあり、基本的にはどのプランでも大きな差が出ることはありませんでした。

とはいえ、エンタープライズが他のプランよりもかなりの高額になっているにも関わらず、他のプランとほぼ同じか、場合によってはそれ以下の結果しか出ていない、という点は気になるところです。

もちろん、マルチドメインや転送量が無制限であったり、バックアップサービスが料金に含まれるなど、使い方によってはかなり優位な点はありますが、サーバー自体の能力に関して大きな優位性は見られないように思います。

サーバーの能力を重視したいのであれば、エックスサーバーなど、よりサーバースペックの高いレンタルサーバーをを選択するのはありだと思いますが、使い勝手の良さなどはロリポップ!の大きなメリットなので、そのあたりのバランスをみつつ、プランを選択するといいでしょう。



ロリポップ!「エンタープライズ」の検証・評価レビュー