「エックスサーバー」v.s.「さくらのレンタルサーバ」-機能とパフォーマンスを徹底比較!



2017年に創業20周年を迎えたレンタルサーバーの老舗である「さくらインターネット」と、さくらに比べると歴史はやや浅いものの、ユーザーを大切にし、実直に高い実績を上げてきた「エックスサーバー」。ネットビジネスを行う上で、どちらのレンタルサーバーを選べばいいか悩む人も多いでしょう。

そこで、今回はさくらインターネット株式会社の共用サーバーである「さくらのレンタルサーバ」と、エックスサーバー株式会社の「エックスサーバー」を、サービスの概要からサーバーの実際の性能まで、各種のベンチマークツールなどを用いた独自の調査内容を交えて比較してみたいと思います。


エックスサーバーとさくらのレンタルサーバの概要を比較

最初に、エックスサーバーとさくらのレンタルサーバの主なサービス概要の違いから見ていきましょう。

主なサービスの違い

以下に、両社における各プランと価格帯毎にディスク容量、マルチドメイン数(設置可能な独自ドメイン数)とデータベース数、転送量の目安を一覧にしました。


エックスサーバー さくらのレンタルサーバ
プラン名 ディスク容量 独自ドメイン/データベース数 転送量 月額料金 ディスク容量 独自ドメイン/データベース数 転送量 プラン名
129円(月額換算) 10GB 20個/なし 40GB/日 ライト
515円 100GB 100個/20個 80GB/日 スタンダード
X10(スタンダード) 200GB 無制限/50個 70GB/日 1,000円台 200GB 150個/50個 120GB/日 プレミアム
X20(プレミアム) 300GB 無制限/70個 90GB/日 2,000円台 300GB 200個/100個 160GB/日 ビジネス
X30(プロ) 400GB 無制限/70個 100GB/日 4,000円台 500GB 200個/200個 200GB/日 ビジネスプロ



相違点に注目してみると、まずさくらのレンタルサーバには全部で5つのプランがありますが、エックスサーバーは3つです。見づらいので並べていますが、1,000~4,000円台のプランは、さくらのほうが500円高いです。(エックスサーバー「スタンダード」約1,000円:さくら「プレミアム」約1,500円))

さくらには格安の100円台・500円台のプランがあるため、選択の幅からいうとさくらのほうが多いですが、後述するようにさくらの場合、プラン変更はできないため、はじめは安いプランから始めて、後で上位プランに移行する、ということはできません。(解約して契約し直し、引っ越しの必要あり)



ディスク容量に関しては、おおむね同じくらいですが、利用可能な独自ドメインやデータベース数に関しては違いがみられます。

さくらも2018年に、利用可能な独自ドメイン数を一気に5倍に増やしましたが、エックスサーバーは無制限なので、大量のサイトを運営するのならエックスサーバーがベターです。一方、WordPress などの CMS(コンテンツマネジメントシステム)で利用されることの多いデータベースの数は、50個を超えるとさくらのほうが多くなります。



最後の転送量に関しては、さくらがエックスサーバーの2倍近くありますので、これはかなり大きな違いです。大量のアクセスがある少数サイトを運営するのであれば、ここはさくらのほうが有利と言えるでしょう。

サイトを量産する、少数サイトを安定して運営するなど、何を優先するかはサイトの運営方針などにもよりますので、総合的に判断する必要があります。


サーバースペックの違いをチェック

次に、サーバー周りのスペックの違いをチェックしてみましょう。


エックスサーバー さくらのレンタルサーバ
Webサーバーソフト nginx(エンジンエックス) FreeBSD
記憶媒体 オールSSD HDD
データベース MariaDB MySQL
CPU Intel Xeon Gold 6126
(12コア24スレッド)
Intel Xeon(4コア)
(スタンダードは10コア)
メモリ 256GB 18MB~48GB
PHP CGIモード(FastCGI) CGIモード/モジュールモード
(モジュールモードはスタンダード以上)
高速化機能 page_modspeed・HTTP/2・ブラウザキャッシュ機能・Xアクセラレータ機能 HTTP/2
アクセス増対策 ○(Xアクセラレータ機能) ○(リソースブースト機能)

※2018/6 エックスサーバーが「Intel Scalableプロセッサー」を採用・2018/9「ブラウザキャッシュ」機能「Xアクセラレータ」機能の提供開始



高速処理が可能な nginx、オールSSD環境、MySQL の後継で高性能な MariaDB、最高スペックの CPU と大容量メモリと、サーバーのスペックに関しては、圧倒的にエックスサーバーのほうが上です。また、高速化に関する機能としては、さくらのスタンダード以上で PHPモジュールモードが利用できますが、それ以外は特にありません。

一方、サイトへのアクセス数が増えた急増したときの対策としては、さくらでは一時的に転送量や同時アクセス数のリソース制限値を緩和する「リソースブースト」機能を、エックスサーバーでは、「Xアクセラレータ」機能を利用できます。前者は手動で設定を行う必要がある+利用後は 1週間利用できなくなりますが、後者は自動的に処理を行ってくれます。


その他の主なサービスの違い

次に、その他の仕様の中で違いがみられるものや、重要な機能やサービスと思われるものをいくつかピックアップし、比較してみました。


エックスサーバー さくらのレンタルサーバ
HTTP/2
無料独自SSL ○(Let’s Encrypt) ○(Let’s Encrypt)
WAF
バックアップ ○(Web&メール7日間分、データベース14日間分) ○(Web&WPデータベース:最大8回分)
 バックアップからの復元 △(データベースは無料) ○(無料)
プラン変更 ○(上位・下位) ×
 プラン変更のタイミング 月単位 ×
ステージング機能 ×
電話サポート
アダルトサイト × ×
データセンター 国内(大阪) 国内(東京/北海道)
お試し期間 10日間 14日間
キャンペーン 独自ドメイン永久無料、初期費用無料など 特になし



まず、新しい通信プロトコルである HTTP/2 や無料の独自SSL などはエックスサーバーが先行して対応しており、さくらは1年以上にようやく対応しはじめました。プラン変更に関しては、エックスサーバーのみ対応しています。

2018年に入り、ようやくさくらもバックアップ機能の提供を始めました。両サーバーの違いとしては、エックスサーバーがデータベース以外の復旧は有料であること、一方さくらの場合は自動バックアップはあらかじめ自分で設定する必要があり、かつ 8回分(8日分ではない)のみバックアップが可能な点です。

また、さくらでは、サイトを公開する前に、実環境と同じ状況でテストサイトを作成できるステージング機能の提供も開始しています。これは、共用サーバーにはまだあまりない機能ですが、重宝する機能貴重です。

一方、セキュリティ機能である、WAF(Webアプリケーションファイアウォール)は、まだエックスサーバーでは実装されておらず、さくらのみ対応しています。(WAF は上位の sixcore にて実装済み)。 エックスサーバーでも提供を開始し、どちらのサーバーでも利用可能になりました。お試し期間は、さくらのほうが若干長いです。

なお、データセンターに関しては、さくらは北海道にも自社のデータセンターを持っていますが、これは VPS などで利用できるようになっており、共用サーバーは東京のデータセンターになるようです。

また、独自ドメイン永久無料や初期費用無料などのキャンペーンも、エックスサーバーは頻繁に実施していますが、さくらでは「○○周年記念」などのタイミング以外では、めったに実施されていません。


各サーバーのパフォーマンスを比較

では、次に各サーバーの実力を比較してみましょう。サーバーの性能はスペックだけではわかりません。そのため、実際に各サーバーを使用して検証を行った結果をもとに、実際の能力差を見てみたいと思います。

比較に使用するのは、当サイトで独自に調査したデータで、同じ価格帯のプランである、エックスサーバー「X10」さくらのレンタルサーバ「プレミアム」を使用した結果です。調査の詳細については、以下の各記事でご確認ください。(2017年3月の調査結果)

Webサーバーの安定性と応答速度をツールで比較(monitis)【2017年版】
WordPressサイトの表示速度をレンタルサーバー各社で比較【2017年版】(GTmetrix)


サーバーの安定性を比較

まず、サーバーで最も重要な「安定性」からチェックします。

調査は Webサーバーの監視ツール「monitis」を利用したもので、約7日間に渡りサーバーの安定性と応答速度をモニタリングした結果を比較します。



「応答速度」は、外部からサーバーに対してサイトのデータを送るよう命令を送った際(HTTPリクエスト)に、どのくらいで応答を返してきたかを計測したもので、数値が小さいほうが応答は速いため、より良いサーバーということになります。

また、「応答なし回数」は、リクエストを送ったにもかかわらず、サーバーから応答がなかった(またはかなり遅かった)、つまり Webサイトの表示ができなかった可能性があると考えられますので、応答なしの回数が少ないほうが安定性の高いサーバーといえます。


Webサーバーの応答速度

最速 平均応答速度 速度順位
エックスサーバー 82 516 4
さくら「プレミアム」 585 1,153 12

※無断転載禁止


Webサーバーの応答状況(安定性)

応答なし回数 (除外分) 応答なし合計 安定性順位
エックスサーバー 3 -3 0 1
さくら「プレミアム」 14 -4 10 11

※無断転載禁止



他社の情報を記載していないため、数字だけでは比較しづらいと思いますが、全15社中における成績として、順位を見るとその差が大きいことがわかると思います。

エックスサーバーは上から数えるほうが早いですが、さくらは下から数えるほうが早いので、エックスサーバーのほうが安定性はかなり上です。


WordPressの表示速度を比較

次に、各サーバーに設置した WordPressサイトの表示速度を比較してみます。表示速度の計測には、Webサイトの速度に関するパフォーマンスを計測できる「GTmetrix」を使用しています。

結果の数値については、小さいほうが速く表示できるということを意味しますので、数値が小さいほうがより良いサーバーということになります。(計測に使用したWebサイトのデータは共通)


WordPress の表示速度

最小値 最大値 平均値 表示速度順位
エックスサーバー 1.1 1.4 1.29 1
さくら「プレミアム」 2.3 2.7 2.5 11

※無断転載禁止



こちらもエックスサーバーの成績が非常にいいという理由もありますが、エックスサーバーがさくらの約 2倍速いです。

他の検証でも出ていますが、さくらの場合、データベースが絡む動作が他社と比較して遅い傾向があるため、ここで利用した WordPress の検証の場合も、やはりあまり良い結果は出ませんでした。


まとめ

以上、エックスサーバーとさくらのレンタルサーバについて、その概要と安定性・サイトの表示速度について比較してみました。

最初の主な仕様を比較した時点では、さくらがマルチドメイン数の利用可能数が限定されていて、さらに転送量もエックスサーバーと比べて多いことから、安定している印象を受けます。



しかし、実際に検証を行ってみると、安定性・表示速度、ともにエックスサーバーが圧倒的に高い数値を出しています。ユーザー側で設定可能な高速化機能などは利用していないため、これはやはり SSD、CPU、メモリなどのサーバースペックの違いが大きい影響と言えるでしょう。

もちろん、Webサイトへのアクセス数が多くなり、転送量を超えるような状況になった場合は、同じ価格帯のプランで比較するとさくらのほうが安定して表示されるのは間違いありません。ただ、おおよそのアクセス数の目安として、エックスサーバーのプランだと月間100万~200万PVまでは耐えられますので、大人気サイトでなければ気にするレベルではありません。



また、さくらインターネットは自社のデータセンターを持つ、東証一部上場企業であり、共用サーバーだけではなく、近年は高火力コンピューティングや IoT まで幅広い分野でサービスを展開している大企業です。共用サーバーはその売り上げの中でもごくごく一部でしかないでしょうから、経営資源をより大規模サービスに注いでいるであろうことは想像できます。

ただ、その分、エックスサーバーやロリポップ!など、共用サーバーを中心のサービスとして展開している企業と比べると、PHP の新バージョンの展開や無料の独自SSL など、最新技術のリリースは遅めで、かつ最低限のみといった印象があります。そのため、共用サーバーを選ぶのであれば、さくらインターネットはやや物足りない感じがするのも事実です。



結論としては、100円台・500円台のプランはエックスサーバーにはないため、格安プランを利用するのであれば、さくらを選ぶことになります。ただ、100円台のプランに関しては、スターサーバーロリポップ! のほうが、安定性とパフォーマンスがずっと上ですので、そちらもあわせて検討してみるといいでしょう。

そして、1,000円台以上のプランであれば、エックスサーバーを選ぶのが良い選択です。もし、月間200PV を超えるような超人気サイトで転送量が気になる場合は、エックスサーバーの上位サービスである sixcoremixhost がオススメです。



エックスサーバーの検証・評価レビュー

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