レンタルサーバーの転送量に含まれる通信の内容を比較



レンタルサーバー選びにおいて、一つの大きな指標になっている「転送量」。近年は転送量が無制限のところも増えてきましたが、中価格帯でも転送量に上限があるところもまだまだあります。

前回サーバーをオンラインストレージとして利用することについての可否を調査しましたが、サーバーに大容量のファイルをアップロードしたり、ダウンロードしたときに転送量制限の対象になることはないのでしょうか。

具体的に転送量の対象となる通信には、何が含まれるのか調査・比較してみました。


転送量とは?

一般的にレンタルサーバーにおける転送量に含まれる通信とは、閲覧者からのアクセスのリクエストに対して提供した Webサイトのデータを http や https という通信方式(プロトコル)でやりとりした情報のことを指します。

共用サーバーの場合、この転送量に上限が定められていることがあり、上限を超えた場合には「503エラー」などを発生させてサイトを一時的に表示しないようにします。(上限値はサーバーにより、日単位/月単位などの違いあり)

これは共用サーバーの場合、特定のユーザーの負荷によって、同じサーバーの他のユーザーに致命的な影響がでないようにするための対処です。

転送量の詳細については、「1.安定性-サーバーの安定度を知るには?」も参照してください。



基本的には、Webサイトのデータ送受信量に対する制限のため、ファイルを転送する FTP や メールの送受信の通信(POP/IMAP/SMTP)などは制限の対象にはなっていません。

しかし、実際にはどこまでが転送量の対象になっているのか、公式サイトなどに詳しく掲載されているところはあまりないため、詳細を各社にヒアリングしてみることにしました。


各レンタルサーバーの転送量上限は?

転送量の対象を確認する前に、まずは各レンタルサーバーで決められている転送量の上限についてみてみましょう。

レンタルサーバー仕様比較一覧」にも記載してありますが、その中から転送量の部分を抜粋してみます。


レンタルサーバー転送量上限一覧

サーバー名 転送量上限目安
エックスサーバー 70GB/日
カゴヤ 160GB/日
WebARENA 無制限
さくらインターネット 120GB/日
WADAX 無制限
heteml 60GB/日
ABLENET 無制限
お名前.com 無制限(他ユーザーへの影響により制限あり)
ロリポップ 無制限
SpeeVer 無制限
iCLusta+ 無制限(他ユーザーへの影響により制限あり)
Bizメール&エコノミー 無制限
クローバー 1,000GB/月



当サイトで紹介しているレンタルサーバーの内、半数以上のサーバーで転送量が無制限になっています。

この価格帯になると、転送量無制限で提供しているところがかなり多いですね。この転送量無制限という仕様も、レンタルサーバーの売りの一つになっていることは確かです。


転送量に含まれる通信は?

次に、実際に転送量に含まれる通信には、一体どこまでが含まれているか確認してみましょう。

「転送量に対して何らかの制限が発生する場合、その転送量に含まれる通信の範囲はどこまでか」というような形で各社に質問しています。


転送量に含まれる通信内容

サーバー名 http FTP メール コメント
エックスサーバー
カゴヤ 他のユーザーに影響が出る場合は、帯域制限や利用制限をする可能性あり
WebARENA 転送量の制限は特になし
さくらインターネット
WADAX 転送量や範囲等、具体的な設定は設けていない 他のユーザーに影響がある場合は、状況に応じて何らかの制限を実施する場合あり
heteml 上限に達しない場合でもサーバーに負荷がかかっている場合は制限の可能性あり
ABLENET
お名前.com
ロリポップ FTPやメールの送受信についてもサーバーの負荷となる場合は、制限を実施する場合もあり
SpeeVer 対象サービスや閾値は決まっていない 他のユーザーへの影響を鑑みて対応
iCLusta+ FTPには制限がないが、FTPサーバーに高負荷が発生した場合は、アカウントの停止などの可能性あり
Bizメール&エコノミー 特に制限なし 別途サイトの表示制限・メールの送受信制限あり
クローバー 他のユーザーに影響が出る場合は、帯域制限や利用制限をする可能性あり



大きくまとめると、以下の 3つのパターンに分類できます。

1. 制限なし
2. Web(http/https)の通信のみ考慮(その他でも制限の可能性はあり)
3. Web・FTP・メールなどすべて含まれる

1.の特に制限なしと回答があったのは NTT 系列の 2社ですが、Bizメール&ウェブエコノミーに関しては、別途サイトの表示に対する制限(訪問者のブラウザに1分間に表示可能なページ数が 20~60 程度)やメールの通信制限などがあります。

ここでは特に挙げられてはいませんが、メールの送信上限などについては、SPAM 対策の一つとしても重要なため、他社でも制限されていることがありますが、一般的な転送量制限とは別に設定されています。

ほとんどの会社は 2.の Webの通信のみを制限の対象と考えていますが、コメント欄にあるように、当然その他の通信方式であっても、サーバーへの負荷が高い動作が見られた場合は、それなりの制限は発生する可能性があることを示唆してくるところが多かったです。(書いていないところも、当然同様の制限は行われると思います)

そして、3. のすべての通信が転送量に含まれるとしているのは、hetemlABLENET だけでした。

中でも heteml の場合は、複数の FTP ユーザーや「WebDAV(サーバーのファイルのやり取りを簡単にする機能)」の利用など、ストレージとして利用しやすい環境が整っていますが、FTP などの通信も転送量に含まれるのであれば、使い方にはやや注意が必要ですね。


転送量に含まれる通信の内容を比較まとめ

以上、レンタルサーバー各社で転送量に含まれる通信の内容を比較してみました。

Webサーバーとしての通常の使い方からいくと、短期間に FTP で大容量のファイルの送受信が行われることはあまりないでしょう。また、メールについてもシステム的にサーバーが分けられていることが多いでしょうし、前述のようにメール自体にも別途制限が課しているところが多いです。

そのため、Webサーバーに大きな負荷を与える可能性が高いのは、やはり閲覧者が多い状況での Webサイトのデータ転送(http/https)ですので、そこをメインの制限とするというのが一般的な考え方だと思います。

ただ、サーバーをストレージとして利用して頻繁にデータのやり取りをする場合は、FTP でのやり取りでもサーバーに大きな負荷を与える可能性がありますので、その場合は制限なしとしている場合であっても、何らかの制限はされる可能性があると考えておいたほうがいいでしょう。

特に heteml の場合は、もともと転送量制限がある上に、http だけではなく、FTP を含めたすべての通信が転送量に含まれるということですので、サイトのアクセス数だけはなく、ファイルのアップロードやダウンロードの際にも、一日に大量のファイルをやり取りしないよう注意しましょう。

なお、heteml や ロリポップ で利用できる「WebDAV」は FTP ではなく、http による通信(厳密には http の拡張プロトコル)のため、heteml 以外でも転送量の制限に影響する可能性があることを考慮して使用したほうがいいでしょう。