メーリングリストとメールマガジン関連のシステムと送信制限比較

メーリングリストとメールマガジン関連のシステムと送信制限比較

レンタルサーバーには、メール機能の一つとしてメーリングリストメールマガジンを発行できる機能を備えていることがあります。

メールマガジンに関しては、専用のサービスを提供しているところもありますが、配信先がそれほど多くなければ、Webサイト公開に利用しているレンタルサーバーをそのまま利用するほうが安く済みますし、楽です。

ただ、レンタルサーバーで利用できるメーリングリストやメールマガジンの機能も、詳細をよく見てみると機能や使い勝手などに大きな差があります。また、SPAM 対策の一つとして、送信メールに何らかの制限を設けているところもあります。

今回は当サイトで紹介しているレンタルサーバーで利用できるメーリングリストやメールマガジン関連のシステムと、メールの送信制限について比較してみます。

メーリングリストとメールマガジンの違い

まず、メーリングリストメールマガジンの概要について軽く触れておきたいと思います。

メーリングリストとメールマガジンは、ともに多数のメンバーにメールを配信するシステムです。

通常、複数人にメールを配信するためには、全員分のメールアドレスを宛先欄に入力する必要がありますが、このシステムでは一つのメールアドレスを入力するだけで、事前に登録されたメンバー全員にメールを送ることができます。

また、ユーザーの管理などを簡単に行えたり、過去の履歴を見られるようにするシステムなど、便利な機能もあります。

一方、主な相違点としては以下のようなものが挙げられます。

メーリングリスト

・主に特定のグループに属するメンバー同士が情報を共有するために利用
・基本的にメーリングリストに参加するメンバー全員がメールを送信する権利がある(設定により外部のメンバーからのメールを配信することも可能)

メールマガジン

・主にオーナーから一方的に送られるメールをユーザーが購読する
・オーナーのみがメールを配信することが可能

メールを複数人に配信するという機能自体は同じですが、そもそもの利用目的から異なっていることがわかりますね。

レンタルサーバーのメーリングリストのシステム比較

では、具体的にそれぞれのシステムの詳細を見ていきましょう。

まず、メーリングリストですが、レンタルサーバーのコントロールパネルですべて設定が行えるところの他、サードパーティ製のメーリングリストシステムを使っているところがあります。その他の特徴の欄に「 」で名称を書いてあるところが、サードパーティ製のシステムを利用しているところです。

なお、各レンタルサーバーの仕様については、当サイトで紹介しているプランに基づいています。(プランによって制限など、サービスの詳細が異なることがあります)

メーリングリストのシステム詳細一覧

メーリングリスト ML機能有無 作成可能ML数 最大登録可能ユーザー数 1通あたりのメールの容量制限 過去履歴閲覧 入退会用ページ作成 マニュアル その他の特徴
エックスサーバー 20件 500 最大30MB ○(パスワード設定可) コントロールパネルで操作 簡単で非常に多機能
カゴヤ △(1個100アドレスまで無料) 記載なし 10,000(100アドレスごとに追加料金発生) 最大10MB × × コントロールパネルで操作
さくらインターネット 50件 200 最大200MB × 「fml」を使用 その他細かい設定変更も可能だが、スキル必要
heteml 20件 制限なし 記載なし 記載なし 記載なし コントロールパネルで操作
クローバー ×
ABLENET ×
WADAX 10件 500 制限なし(推奨2MB) × 「Mailman」を使用 アドレスごとに投稿制限可能
ロリポップ 30件 500 記載なし × コントロールパネルで操作 あまり細かい設定はできない
お名前.com 50件 300 最大5MB △(別途要アクセス制限) × コントロールパネルで操作 ※設定したドメインのメールアドレスは利用不可になる
WebARENA 50件 200 最大20MB × × コントロールパネルで操作
Bizメール&エコノミー 5件 20 最大約5MB × × コントロールパネルで操作
SpeeVer 記載なし 記載なし 最大40KB × × 「Majordomo」 リスト外メンバーからの投稿不可
iCLUSTA+ △(200円(税抜)/月 上位プランは無料) 制限なし 1,000 最大30MB × × コントロールパネルで操作 ※マルチドメインにて設定したドメインが対象

まず、クローバーABLENET 以外はメーリングリストの機能はありました。ただ、iCLUSTA+カゴヤのように有料になるところもあります(カゴヤはメーリングリスト 1つ(100アドレスの登録)までは無料)。

また、作成可能なメーリングリスト数やメーリングリストに登録できるユーザー数(メールアドレス数)、1通当たりのメールの容量制限にもかなり幅がありますね。

「制限なし」のところがあると思えば、Bizメール&ウェブエコノミーのようにメーリングリストの作成5件、20人までというかなり厳しめのところもあります。このあたりの必要数は用途によって大きく変わってくると思いますが、サーバーによってはかなり用途が制限される可能性があることはわかります。SpeeVer の「40KB」という制限もかなりシビアです。

あと注目したいのは、入退会用ページの作成機能です。これはよくメールマガジンなどを登録するときに登録や解除をするためにWebサイトにアクセスすることがあると思いますが、そのページを作成する機能です。

メールマガジンの場合は、なんらかのグループ内で利用することが多いと思いますので、管理者が手動でユーザーを登録することが一般的ですが、こういったページを用意することができれば、登録ユーザーが自由に入退会できるし、管理者の手間も不要なので、それなりにメリットはあると思います。

また、マニュアルですが、これは利用できる各種機能に関するマニュアルが用意されているかどうかについての評価です。

・「○」:機能に関しての説明がマニュアルにほとんど記載されているもの
・「△」:マニュアル自体はあるものの、最低限の機能についてしかマニュアルがないもの

特にさくらインターネットWADAX のようにサードパーティ製のシステムを利用しているところは、メールアドレスの登録や解除など最低限の機能についてしかマニュアルがありませんでした。その他の設定に関しては、それほど難しいとは思いませんが、迷った時にはサポートに問い合わせるか、自分で調べるしかないことになります。

最後にメーリングリスト機能を利用する上で十分注意したいのが、お名前.comレンタルサーバーiCLUSTA+ です。この 2社に関しては、メーリングリストにドメインを登録すると、そのドメインでは通常のメールが使えなくなったり、マルチドメインでしかメーリングリストを使えないなどの制限があります。事前にこのあたりの説明をしっかり把握しておいたほうがいいでしょう。

メールマガジンの機能比較

次に、メールマガジンの機能についてみてみましょう。

こちらも各レンタルサーバーの仕様については、当サイトで紹介しているプランに基づいています。

メールマガジンのシステム詳細一覧

メールマガジン機能有無 作成可能数 ユーザー数 入退会用ページ作成
エックスサーバー 10件 1,000
カゴヤ × ×
さくらインターネット △(メーリングリスト利用) ×
heteml 15件 1,000 記載なし
クローバー ×
ABLENET ×
WADAX ×
ロリポップ 30件 500
お名前.com △(メーリングリスト利用) ×
WebARENA △(メーリングリスト利用) ×
Bizメール&エコノミー ×
SpeeVer △(メーリングリスト利用) ×
iCLUSTA+ △(メーリングリスト利用) ×

残念ながら、メールマガジン専用の設定機能があるレンタルサーバーはほとんどありません。多くの会社のサポート窓口には、メールマガジンを発行したい場合は、メーリングリストの機能を代用するようにとの返答をもらっており、「△(メーリングリスト利用)」のような形で記載しています。

たしかに、メールの送信が可能なメンバーを管理者に限定することで、メーリングリストの機能を利用してメールマガジンと同様の機能を実現することは可能とは思いますが、使い勝手はあまりよくはないかもしれません。

また、メールマガジンでより有用なのは、メーリングリストの項目で書いた入退会ページの作成機能です。メールマガジンは一般的に不特定多数のユーザーに配信するため、登録や解除をユーザー自身に行ってもらうのが一番です。この機能がないとユーザーは気楽に登録しにくいため、なかなか重要な機能だと思います。

なお、メールマガジン機能が利用できる 3社でも、作成可能数と登録可能なユーザー数がそれぞれ異なりますので、事前にある程度の規模を想定したうえで、サーバーを決めるといいかもしれませんね。

メールの送信制限の比較

最後にメールの送信制限についてみてみましょう。

メーリングリストや、特にメールマガジンを利用する場合は、メールの送信制限をきちんと把握しておく必要があります。

短時間にメールを大量に配信すると、サーバーに負荷がかかるため、レンタルサーバーから送信を止められてしまうかもしれません。また、配信先のサーバーなどに SPAM と判断され、メールが届かなくなってしまう可能性も考えられます。

SPAM と判断された場合、配信元のサーバーからのメールをブロックする形になることがあるため、同じサーバーを使っている他の人のメールも同様に SPAM と判断され、メールが届かなくなってしまうなど、他のユーザーにも多大な迷惑をかけることになります。

では、レンタルサーバー各社のメール送信に関する制限を見てみましょう。

メールの送信に関する制限の一覧

エックスサーバー 1,500通/時間 15,000通/日
カゴヤ 明確な制限なし(制限される可能性はあり)
さくらインターネット 制限の記載なし(規約に抵触する場合は制限される可能性あり)
heteml 1,000通/時間 もしくは 10,000件/日
クローバー 3,000通/日 1通ごとに30MBまで
ABLENET 記載なし(メールの大量発信はNG)
WADAX 特に制限は設けていないが、大量一斉送信などはサーバー負荷の影響で制限される可能性あり
ロリポップ 1,000通/時間 もしくは 10,000件/日
お名前.com 記載なし(メールの大量発信はNG)
WebARENA 配送制限の具体的な値は非公開
Bizメール&エコノミー 制限の記載なし(規約に抵触する場合は制限される可能性あり)
SpeeVer 制限の記載なし(規約に抵触する場合は制限される可能性あり)
iCLUSTA+ 制限の記載なし(規約に抵触する場合は制限される可能性あり)

メールマガジンの機能があるエックスサーバー・heteml・ロリポップに関しては、明確にメールの送信数などの制限についての記載がありましたが、それ以外はクローバーを除き、明確に制限を記載しているところはありませんでした。

規約などでは、メールの大量送信は禁止などと書かれていることはありますが、具体的な数値は書かれていないところがほとんどです。

そのため、実際にどのくらいで制限されることになるかは、やってみないとわからないということになりますね。また、メールマガジンの機能を有していないことを考え合わせると、そもそも基本的に大量のメールを送信することは推奨していないといえるかもしれません。

なお、heteml と ロリポップには「ただし、弊社が提供しているメーリングリスト機能・メールマガジン機能を利用する場合は除く」という注釈がついていました。そのため、メーリングリストやメールマガジンの機能で配信するメールは、もう少し制限が緩いのかもしれません。

とは言っても、無制限ということにはならないと思いますので、常識の範囲内での運用は必要と思われます。

メーリングリストとメールマガジン関連のシステムと送信制限比較まとめ

以上、メーリングリストとメールマガジンのシステム、およびメールの送信に関する制限を比較してみました。

特定のグループ内で利用することがメインのメーリングリストの機能は多くの会社が提供していますが、不特定多数に向けて配信されるメールマガジンはトラブルになりやすいためか、送信制限も含めてあまり積極的に提供されていない印象です。

今はメーリングリストよりも SNS の機能を使用することが主かもしれませんし、メールマガジンを本格的に活用するのであればメールマガジンスタンドや専用のサーバーを利用するほうがいいかもしれません。

ただ、それほど規模が大きくなく、費用を抑えたいのであれば、こういったレンタルサーバーの機能を利用することは十分可能だと思います。

なお、上でも触れたようにメーリングリストについても、最低限のサポートページのみがあるところがほとんどです。さらに、中にはほとんど実用的とは言えないレベルのメンバー数やメールの容量制限などがあるレンタルサーバーもありますので、メーリングリストやメールマガジンの機能を使いたい人は、あらかじめそういった仕様も把握しておきましょう。

当サイトで紹介しているレンタルサーバーの中では、メーリングリストとメールマガジンの両方の機能が利用でき、また細かい設定も可能、しかもマニュアルが非常に充実しているエックスサーバーが一番おすすめです。もし、最低限の機能だけでもいいのであれば、ロリポップもありだと思います。

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