heteml(ヘテムル)が復活!新サーバー環境と「モジュール版PHP」を徹底検証

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heteml(ヘテムル)が復活!新サーバー環境と「モジュール版PHP」を徹底検証

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2016年11月1日に heteml(ヘテムル)サーバー構成をリニューアルし、さらに「モジュール版PHP」の提供も開始しました。

これまで同じGMO ペパボ株式会社が提供する「ロリポップ!」の高いパフォーマンスと比較して、イマイチ精彩を欠いていた heteml ですが、今年に入ってからオールSSD 化(2016年4月)、転送量制限緩和(2016年6月)、そして電話サポートの開始(2016年10月)と続く大きなサービス改善を行ってきました。

そして、今回のサーバー環境の一新とモジュール版PHP の提供を締めくくりとして、「クリエイター向け」という呼び名通りの本来の魅力を取り戻したと言えるでしょう。非常に期待できます。

そこで、今回はその新しい heteml のサーバー構成の変更点などを詳しくチェックし、各種ベンチマークツールで実際のパフォーマンスの変化も見てみたいと思います。

heteml(ヘテムル)の検証・評価レビュー
GMOペパボ対決!「heteml(ヘテムル)」v.s.「ロリポップ(エンタープライズ)」徹底比較

目次

heteml のサーバー構成の刷新とモジュール版PHPの提供概要

まず、heteml のサーバー構成の変更点ですが、CPU が 12コア(24スレッド)から 20コア(40スレッド)へスペックアップし、クロック数も高くなりました。その影響で、性能が約 2倍になったとのこと。

「レンタルサーバーの実際のスペックとサーバーの所在地を調べてみた」のように、実際に使用されている CPU をチェックしたかったのですが、残念ながら確認できませんでした。

ただ、20コアの CPU ということでは、これまでダントツに高いスペックだったエックスサーバーと同じスペックに追い付いたことになります。

また、メモリも 32GBから 128GBに拡充されました。これだけでも、パフォーマンスの向上に期待が高まりますね。

さらに、今回はモジュール版PHPの利用も可能になりました。一般的にレンタルサーバーで利用されている「CGI版PHP」と比較すると、パフォーマンスが向上するといわれています。(詳しくは「PHPモジュールモードとCGIモードの違いとパフォーマンスの差を検証」を参照してください)

すでに同じ会社の格安サービスという位置づけであった「ロリポップ」の上位プランで、「モジュール版PHP」が提供されていたのですが、ようやく heteml でも提供が開始されましたね。

また、これまで PHPのバージョン変更設定は「.htaccess」という設定ファイルに書き込んで、FTP でアップするという手段が必要だったのですが、これもコントロールパネルから簡単に設定ができるように変更になりました。細かい点ですが、確実にユーザビリティは向上しましたね。(現時点では新サーバー環境のみ)

heteml のPHPバージョン変更画面

以上 2点に加えて、前述のようにすでに Webサーバー・データベースサーバーの両方が SSD 環境になっていますので、これだけの環境が整えば、十分なパフォーマンスが期待できますね。

なお、もう一つ細かい変更ですが、以前は heteml 提供のサブドメインは○○.heteml.jpだったのですが、今回の変更に伴い「○○.heteml.net」になったようです。

新サーバー環境のパフォーマンスをベンチマークツールでチェック

では、実際に新たなサーバー環境のパフォーマンスがどのくらいアップしているのかをベンチマークツールでチェックし、以前の環境のパフォーマンスと比較してみましょう。

まずは、Webサーバーの安定性をモニタリングツール「Monitis」比較、処理速度などをベンチマークツールである「PHP Benchmark」と「ApacheBench」「PHPspeed」で測定し、以前のサーバー環境でのデータと比較してみました。

まずは、Monitis のデータから。

Monitis

Montis で Webサーバーが安定してサイトの表示をしてくれているか、という点をチェックするために、HTTP リクエストのモニタリングをしました。

モニタリングの結果はグラフになっていて、縦軸が応答時間(単位は ms(ミリ秒))、横軸が時系列(薄い縦棒が日の区切り)になっています。

また、線の色やポイントに関しては、以下のような意味です。

  • 紫の線:日本からの応答状況
  • 茶色の線:アメリカからの応答状況
  • 赤い点:Webサーバーからの応答を受け取れなかったポイント
    (画像をクリックすると拡大して見ることができます。また、拡大した画像は、ブラウザの戻るボタンで本文に戻れます)

応答時間が速く、応答なし回数が少ないほうがより安定性が高いと言えます。

前回実施した測定の詳細記事はこちら(Webサーバーの安定性を monitis で比較チェック

以前のサーバー環境
リニューアル後のサーバー環境
最速(ms)最長(ms)差分(ms)応答なし回数(日本)順位
前回5,2975,5742772710
今回37568230702

ぱっと見でわかりやすいのが、サーバーから「応答なし回数」(赤い丸点)が激減しているところです。以前のサーバーではかなり頻繁に応答なしになる状況が発生していたのですが、今回は日本のサーバーからのリクエストに対しては、応答なしになる回数が、なんと「0」になりました。

また、応答のスピードも劇的にアップし、トータルでは以前の 10位から、一気に 2位にランクインしました。これは驚きです。

PHP Benchmark

PHP の処理のパフォーマンスを測定するスクリプト「PHP Benchmark」を使用したベンチマークテストです。

測定は、PHP7(モジュール版)にて行いました。数値は「既定の処理が終わるまでに要した時間(単位:ミリ秒)」で、値が小さいほうがパフォーマンスが高いです。

前回実施した測定の詳細記事はこちら(PHP Benchmark でレンタルサーバー各社のパフォーマンスを比較

最小値最大値12回の平均値中間値の平均値最大値と最小値の差
前回213922.021.318
今回121313.013.01

一目瞭然ですが、今回のほうが明らかにパフォーマンスが上がっています。(数値が小さくなっている)

特に PHP7 モジュール版の場合は非常に安定していて、実施した時間帯に関わらず、結果の数値が最小値の「12ミリ秒」を出した 1回を除き、すべて「13ミリ秒」という結果が出ました。

これは他のレンタルサーバーと比較しても、非常に安定性が高い結果ですし、トータルで見ても最上位に位置するすごい結果です。

ApacheBench

Webサーバーのパフォーマンスを測定するベンチマークツール「ApacheBench」を使用したテストです。

測定は、PHP7(モジュール版)にて行いました。静的な HTTP と 動的な PHP などのファイルでは結果が異なるため、その両方でテストを行っています。

数値は「1秒間に処理したリクエスト数(Requests per second)」で、値が大きいほうがパフォーマンスが高いです。

前回実施した測定の詳細記事はこちら(ApacheBench で Webサーバーのパフォーマンスを比較

■HTTP Requests per second■PHP Requests per second
前回330.5823.48
今回344.91346.40

こちらもHTTP と PHP ともに高いパフォーマンスが出ています。特に PHP は一ケタ違いますね。

ロリポップの測定時にも PHP がダントツに高い数値で、かつ HTTP とほとんど差が出ないという独特の結果が出たのですが、それと同じ状況になりました。まあ、同じ会社当然といえるかもしれませんが、似た構成や設定にしたのであろうことは想像に難くありません。

こちらも HTTP ではそれほどではないものの、PHP ではロリポップとほぼ同等の最上位のパフォーマンスです。

PHP や MySQLの処理速度(PHPspeed)

最後は PHP 単独の処理だけではなく、MySQL を利用した場合のパフォーマンスをチェックしたり、データの読み書きテストなども含めた、全部で 6つのテストを実施する、「PHPspeed」の結果です。

このスクリプトは PHP7 では動作しないため、PHP5.6(CGI版)での結果です。前回も同じPHP5.6(CGI版)でのテストでしたので、純粋にサーバーの違いが出ると思います。

PHPSpeedSynthetic PHP BenchMarkSynthetic MySQL TestRead/Write to File TestReal World PHP TestReal World PHP w/ MySQL TestServer Benchmark順位
前回8,6423,5893,45211,3526,5544,2806
今回12,8933,1867,38416,48810,3935,3072

(数値は「既定の処理が終わるまでに要した時間」 値が小さいほうがパフォーマンスが高い)

なぜか「Synthetic MySQL Test」で若干数値が下がっていますが、残りの項目はすべてパフォーマンスが上がっています。

そして、他のサーバーと比較した総合順位でも見事 2位に浮上。一気に最高のパフォーマンスへ上がりました。

PHPモジュール版のパフォーマンスをベンチマークツールでチェック

さらに、今回は PHP のモジュール版も同時にリリースされたということで、あわせてこちらもチェックしてみました。(過去の調査結果はこちら」)

現在 heteml で利用できる PHP は、PHP7(モジュール版)・PHP7(CGI版)・PHP5.6(CGI版)の 3つです。この 3つを切り替えて、同じく時間帯を変えてテストを実施しています。

まずは、「PHP Benchmark」から。

PHP Benchmark

スクロールできます
最小値最大値12回の平均値中間値の平均値最大値と最小値の差
PHP7(モジュール版)121313.013.01
PHP7(CGI版)101311.411.43
PHP5.6(CGI版)192521.621.46
前回213922.021.318

PHP7 はモジュール版と CGI版ではそれほど大きな差はなく、平均値は CGI版のほうがパフォーマンスが高いものの、最大値と最小値の差はモジュール版のほうが小さい、つまりばらつきがないことを示しています。前述のとおり、安定性が非常に高いですね。

PHP5.6 は、PHP7 と比較するとやはりパフォーマンスは劣りますが、前回の数値と比較すると安定性が上がっていることがわかります。やはり CPU の変更や オールSSD化の影響でしょう。

ApacheBench

次に、ApacheBench の結果です。

ApacheBench ではあまり差が出にくいのですが、モジュール版の場合、サーバーの高負荷時に高速なレスポンスを返せる傾向があるため、テキスト量がやや少なめの WordPress サイトとテキスト量が多めの WordPress サイトで比較しています。

テキスト量少テキスト量多
PHP7(モジュール版)346.40341.46
PHP7(CGI版)342.26345.93
PHP5.6(CGI版)331.59347.71

結果としては、いずれのパターンでもほとんど差がでませんでした。

ロリポップの場合は、テキスト少なめの WordPress サイトの場合は、モジュール版のほうがパフォーマンスが低いという結果がでてしまったのですが、heteml の場合は誤差の程度で、大きな変化は見られませんでした。

以上のように、今回チェックした WordPress サイトのデータ量の範囲であったり、現在のサーバーの負荷状況では「モジュール版」の目立った優位性はみられませんでしたが、非常に安定した数値がでていましたので、サーバーがより高負荷になった際にはその本領を発揮するのではないかと思います。

それをおいても、以上のデータからは以前に比べてかなりパフォーマンスは向上しているだけではなく、全レンタルサーバーの中でも最上位のパフォーマンスが出るようになった、と結論付けていいでしょう。

heteml(ヘテムル)復活が!新サーバー環境と「モジュール版PHP」を徹底検証まとめ

以上、今回の heteml のサーバー環境一新の概要と実際のパフォーマンスを確認してみました。

予想以上に高いパフォーマンスが出ていたので、驚くと同時にうれしい気持ちにもなりました。

というのも、他の記事でも書いていましたが、heteml は本来ロリポップの上位サービスの位置づけとしてリリースされたと思うのですが、ここ最近はロリポップからビジネス向けの「エンタープライズプラン」が提供されたりして、heteml の位置づけがあいまいな感じになっていました。

また、サーバー環境もロリポップのほうが先にスペックアップしていたため、ここしばらくは heteml の優位性を感じられない状況でした。

ロリポップのほうがユーザー数は圧倒的に多いと思いますので、そちらが優先されるのは当然だと思いますが、heteml も非常に使いやすいサーバーでしたので、残念に思っていました。

しかし、今回までの一連のリニューアルにより、heteml の優位性がグンと高まりました。実際のパフォーマンスも、上で見たとおり十分なものになっていますので、コストパフォーマンスも非常に良いと思います。

ビジネス用途でも利用を検討するに値する、実力十分の魅力あふれるサーバーになりましたので、今後は積極的におすすめしたいと思います。

heteml(ヘテムル)の検証・評価レビュー
GMOペパボ対決!「heteml(ヘテムル)」v.s.「ロリポップ(エンタープライズ)」徹底比較

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