iCLUSTA+がPHP7.0とバージョン切り替えなど新機能追加-その実力を検証

iCLUSTA+がPHP7.0とバージョン切り替えなど新機能追加-その実力を検証

2017年3月1日に GMOクラウドの iCLUSTA+(アイクラスタプラス)が、PHP7 の提供を開始しました。

また、以前は行えなかった、PHP のバージョン切り替え機能DNS のゾーン編集を行えるようになった他、メール添付ファイル自動暗号化のオプションもあわせてリリースされました。

PHP7 は、以前の PHP5.6 パフォーマンスが向上しており、PHP7 をいち早く導入したエックスサーバーで、2017年2月13日に PHP7 を推奨バージョンにするなど、レンタルサーバー業界全体においても PHP7 が主流になりつつあります。

今回は、iCLUSTA+ の新機能の概要と、PHP7 でのパフォーマンスの向上を各種ベンチマークツールで確認してみたいと思います。

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iCLUSTA+の新機能概要

まず、今回リリースされた新機能 4つの概要を、順に見ていきましょう。

PHP7.0 とPHP バージョン切り替えの新規導入

今回、iCLUSTA+ で提供が開始されたのは、「PHP7.0」(厳密には 7.0.16)です。

また、以前は利用できる PHP のバージョンは、運営側で設定されたバージョン一つだけだったのですが、今回バージョンの切り替え機能も導入されました。現在利用できる PHP のバージョンは「7.0.16」と「5.6.25」の二つです。

PHP7.0 とPHP バージョン切り替えの新規導入

今回導入された PHP7 は PHP5 と比較して、性能が 2倍以上にアップしていると言われています。早く PHP7 を使いたいユーザーも多いと思いますが、PHP5 をそのまま使い続けたいユーザーも中にはいると思いますので、ユーザーの好みで使い分けられるようになるのはありがたいでしょう。

DNS のゾーン編集が可能に

また、DNS のゾーン編集もできるようになりました。

これまでは、独自ドメインを iCLUSTA+ で取得した場合、Webサイトの公開やメールの利用など、すべて iCLUSTA+ のサーバーでしか利用できませんでした。しかし、今後はゾーンの変更を行うことで、Webサイトは iCLUSTA+、メールサーバーは自社のサーバーで利用する、といった利用方法も行えるようになります。

なお、ゾーン修正が可能なレコードは「Aレコード」「MXレコード」「TXTレコード」「CNAME」です。

メール添付ファイル自動暗号化をリリース

もう一つ、オプションですが、メール添付ファイル自動暗号化の機能もリリースされました。

これは、メールに相手に送りたいファイルを添付するだけで、以下の作業を自動的に行ってくれる機能です。

iCLUSTA+がメール添付ファイル自動暗号化をリリース

  • 添付ファイルにパスワードを設定して暗号化
  • ファイルサイズを自動的にチェックし、大きい場合は、ファイルをクラウドにアップ 相手にはダウンロードリンクとパスワードを通知

暗号化を自動的に行ってくれるため、セキュリティの面からも安全ですし、大きなファイルを相手にメールで直接送らずにすみますので、相手のメールボックスを一杯にしてしまうなどの迷惑をかける心配もありません。

仕事で頻繁にファイルのやり取りを行う人には、かなり重宝する機能です。

PHP7 のパフォーマンスをベンチマークツールでチェック

さて、メインの PHP7 のパフォーマンスのチェックに移りましょう。iCLUSTA+ のサーバーで、現在の標準バージョンである PHP5.6 と比較して、PHP7 がどのくらいパフォーマンスがアップするのかを、ベンチマークツールでチェックしてみます。

今回は、PHP の処理速度などをチェックするベンチマークツールである「PHP Benchmark」と、Webサーバーのパフォーマンスをチェックする「ApacheBench」で測定し、以前のサーバー環境でのデータと比較してみました。(いずれも平日に時間を変えて 6回ほど実施した値の平均値を比較)

なお、iCLUSTA+ で利用できる PHP は「CGI版(CGIモード)」のみで、さらにパフォーマンスの高い「モジュールモード(モジュール版)」は利用できません。

PHP Benchmark

PHP の処理のパフォーマンスを測定するスクリプト「PHP Benchmark」を使用したベンチマークテストです。

数値は「既定の処理が終わるまでに要した時間(単位:ミリ秒)」で、値が小さいほうがパフォーマンスが高いです。

前回実施した測定の詳細記事はこちら(PHP Benchmark でレンタルサーバー各社のパフォーマンスを比較

最小値 最大値 12回の平均値 中間値の平均値 最大値と最小値の差
PHP7.0 19 102 38.7 33.5 83
PHP5.6 36 212 57.5 51.2 176

いずれの値も PHP7 の数値が小さいですね。明らかに PHP7 のほうが、パフォーマンスが高いことがわかります。

PHP Benchmark は、PHP による単純な処理のパフォーマンスを見ることができるため、他のツールと比較しても PHP 自体のパフォーマンスの差がはっきり出ます。このツールでは、PHP7 のパフォーマンスの向上をはっきり見ることができました。

ApacheBench

次は、Webサーバーのパフォーマンスを測定するベンチマークツール ApacheBench を使用したテストです。

WordPress で作成したサイトに対して実行していますが、ページのボリュームが少ないとあまり差が出ないことがあるので、掲載するテキスト量を大幅に変更し、約3,000文字と約30万文字のサイトで比較してみました。

数値は、「1秒間に処理したリクエスト数(Requests per second)」で、値が大きいほうがパフォーマンスが高いです。

前回実施した測定の詳細記事はこちら(ApacheBench で Webサーバーのパフォーマンスを比較

テキスト量少 テキスト量多
PHP7.0 5.78 4.06
PHP5.6 4.44 3.19

こちらも、若干ではありますが、PHP7 のほうが数値が大きくなっている、つまり PHP7 のほうが多く処理を行えていることから、パフォーマンスが高いということがわかります。

以上 2つのテスト結果から、iCLUSTA+ において、PHP7 のパフォーマンスは、PHP5.6 よりも向上していると言っていいでしょう。

iCLUSTA+がPHP7.0とバージョン切り替えなど新機能追加まとめ

以上、iCLUSTA+ における PHP7.0 をはじめとする新機能の概要と、パフォーマンスの検証結果をまとめてみました。

PHP5.6 と比較して、PHP7 ではしっかり高いパフォーマンスが出ていましたね。残念ながら、iCLUSTA+ は、サーバー自体のパフォーマンスがそれほど高いとは言えないのですが、それでも PHP7 にすることでパフォーマンスは上がりますので、WordPress を使用している場合は、切り替えてみてください。

また、メール添付ファイル自動暗号化のオプションも、非常に便利な機能で、料金も高くはありませんので、ビジネスで iCLUSTA+ を使用しているのであれば、ぜひ活用したいところですね。

GMOクラウド iCLUSTA+「ミニ」の検証・評価レビュー

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