2017年11月30日に、GMOペパボ株式会社の新サービスである、ロリポップ!「マネージドクラウド」サービスのオープンβ版がリリースされました。
このマネージドクラウドは、ロリポップ!が満を持してリリースする、全く新しいサービスで、クラウドのメリットを生かしながらも、複雑な設定やメンテナンスを不要とし、誰でも簡単に使えるようにしものです。
これまでは α版として、人数限定で提供されていましたが、今回誰でも利用できるようにオープン化されましたので、早速利用してみました。
ロリポップ!マネージドクラウドとは、一体どのようなサービスなのか、その概要とそして実際に使ってみた感想などを紹介していきたいと思います。
ロリポップ!マネージドクラウドとはどんなサービス?
まず、今回見ていくロリポップ!の「マネージドクラウド」が、どういうサービスなのかを簡単に説明します。
このサービスの特徴を一言で説明すると、以下のようになります。
「クラウドサーバーのメリットを、共用サーバーレベルの簡単な操作で利用できるようにしたサービス」
ここで言う、「クラウドサービスのメリット」とは、主に以下の点が挙げられます。
- 他のユーザーの影響を受けにくい
- リソースを柔軟に変更できる
=仮想化により独立した環境になる
=アクセスが急増したときにも、確実にサイトが表示できる
=アクセスが少ないときは、その分料金を節約できる
また、従来のクラウドサーバーの場合、サーバーの基本部分の管理や、リソースの設定などは、ユーザー自身が行う必要がありますので、ある程度の専門的な知識がないと扱えないものでした。
そういった根幹部分のメンテナンスなどをサーバー会社側が行うことにより(これが「マネージド」の意味)、共用サーバーを使うレベルの知識でも使用できるようにしたものが、このロリポップ!のマネージドクラウドです。
ロリポップ!マネージドクラウドの3つの特徴
ロリポップ!マネージドクラウドでは、上に説明したメリットを生かすために、以下の 3つの特徴を持っています。
- 自動セットアップ
- オートスケール設定
- メンテナンスやセキュリティの対応
自動セットアップ
WordPress や PHP などの CMS や言語を簡単にセットアップする機能です。
本来、共用以外のサーバーでは、WordPress 一つインストールする際にも、プログラムのダウンロード、データベースの作成からインストールまで、すべて手動で行う必要があります。
しかし、この自動セットアップ機能により、共用サーバーと同じ、もしくはそれ以上に簡単に各機能を使用できるようになっています。
オートスケール設定
あらかじめ設定を行っておくことで、自動的にリソースを増減させることができる機能で、アクセスが急増した時にも、エラーを返さずにサイトを表示できるようになります。
メンテナンスやセキュリティの対応
共用サーバー以外の VPS・専用サーバー・クラウドサーバーの場合、サーバー自体の OS やセキュリティ機能など、サーバーの根幹にあたる部分のメンテナンスも、すべて自分で行わなければなりません。
しかし、マネージドクラウドでは、そういった面倒な作業はすべて、ロリポップ!側が実施してくれますので、ユーザーは共用サーバーと同じように、コンテンツの作成に集中することができます。
ロリポップ!マネージドクラウドでWordPressを構築してみた
まだ、ベータ版ということで、使用できる機能は多くないのですが、WordPress は使用できましたので、早速使ってみました。
WordPress は、ダッシュボードの「新しいプロジェクトの追加」から WordPress のロゴをクリックしてインストールします。データベースの作成も自動的に実行され、別途作成する必要はありませんでした。
現時点では、この後に下のように WordPress の構築画面が表示されるので、データベース情報を入力する必要がありますが、正式リリース時には「簡単インストール機能」が導入される予定ですので、この作業も必要なくなるでしょう。
WordPress のインストールが完了したので、サイトにコンテンツをいれて表示速度を測定してみました。(GTmetrix を使用)
「Fully Loaded Time」が、1.9秒と出ました。Google Page Speed の評価も「A」と、なかなかいいです。
表示速度に関しては、過去のロリポップ!共用サーバーの計測では、平均で 2(1.99)秒でしたので、おおむね同じか、若干速いです。
実際にどこまでの範囲でリソースを自由に変更できるようになるのかわからないのですが、正式なリリース後は、スペック自体、現在のものとは変わるかもしれませんし、もしかするとリソースの変更によって表示速度を速くするようなこともできるのかもしれません。
なお、独自SSL も利用できるため、URL も https になっていました。
管理画面では、トラフィックの状況なども確認できます。
その他の細かい設定に関しては、現時点ではグレーアウトして使用できませんでした。
まとめ
以上、「ロリポップ!マネージドクラウド」のオープンβ版の概要と使用してみた感想を書きました。
共用サーバーの場合、プランごとにリソースの制限が決められているため、SNSの拡散やニュースサイトで取り上げられたりすることで「バズ」り、アクセスが急増してその上限を超えてしまった場合には、いわゆる「503エラー」が表示されてしまい、一時的にサイトの表示ができなくなってしまいます。
この対策としては、プラン変更で同時アクセス数や転送量を増やすか、「同時アクセス数拡張」機能などを使うことになります。しかし、プラン変更の場合は、即時できないところもありますし、同時アクセス数拡張機能もあくまで一時的なアクセスにしか対応できません。
また、共用サーバーと VPS~クラウド間における必要な技術レベルの差が非常に大きいため、VPS 以上のサーバーを利用できる人は限られています。しかし、この「ロリポップ!マネージドクラウド」のリリースによって、共用サーバーのように簡単に扱え、かつクラウドのように柔軟なサーバーの使い方ができるようになります。
共用サーバーでありながら、同じように仮想環境で、CPU やメモリなどのリソースの変更を柔軟に行えるのは、mixhost くらいですが、今後はこういったサービスがどんどん増えていくように思います。
「ロリポップ!マネージドクラウド」の正式リリースは、2018年1月末を予定しています。正式リリースが待ち遠しいですね。