安定性で選ぶレンタルサーバー



レンタルサーバーをビジネスで使用する場合、最も重要なことは何でしょうか?

それは、間違いなく「安定してサイトが表示されること」です。

では、サーバーが安定しているということは、具体的にどういった状態なのでしょうか?

    ・サーバーが停止しにくい
    ・障害が起こりにくい
    ・エラーが発生しにくい
    ・通信がスタックしにくい
    ・サーバーに過剰な負荷がかかりにくい

以上のような点が実現できていれば、そのサーバーは安定している、と言えます。

では、これからレンタルしようと思っているサーバーが実際に安定していて、安心して利用できるかどうかを知るにはどうしたらいいでしょうか。

サイトが安定して表示されるかどうかを知るためには、サーバーの各種仕様の中から、サーバーの安定度に関わる項目をチェックすることが必要です。

もちろん、当サイトで主に紹介している「共用サーバー」の場合は、同じサーバーに同居している他のユーザーの影響などを受けやすいため、実際に使ってみないとわからない要素が大きいことは確かです。

ただ、それ以前に公式サイトなどで確認できる項目で、ある程度その会社などの信頼性をチェックしてみることも、とても重要です。



では、以下にレンタルサーバーの安定性を支えている各項目を順に紹介し、その項目の簡単な説明をしていきたいと思います。

専門的な用語も含まれているため、意味が分からずに見過ごされがちな項目もありますので、これを機会に大枠だけでもいいので項目自体の意味も理解してみましょう。


稼働率

サーバーが物理的に安定して動いているかどうかを知る代表的な指標が、この「稼働率」です。

稼働率は以下の数式で計算されます。

    稼働率=(稼働時間×障害時間)÷稼働時間×100

各公式サイト上に表示されている稼働率は、一般的に年間の稼働率が記載されていますが、稼働率を公表しているサービスでは、おおむね「99.9%」「99.99%」「99.999%」のいずれかの数値が書かれています。

例えば、稼働率が 99.99% ということは、裏を返せば 0.01% に当たる時間帯はサーバーが止まっているということを意味します。

では、この稼働率を年間の時間数に換算してみると、どのくらいの時間停止している事になるのかがわかります。

    稼働率 99.9% 8760×0.001=8.76時間(約8時間48分)
    稼働率 99.99% 8760×0.0001=0.876時間(約53分)
    稼働率 99.999% 8760×0.00001=0.0876時間(約5.3分)

つまり、各稼働率の場合、1年間でカッコ内の時間に当たる間サーバーが止まっているということになります。

単にパーセンテージだけを見ると、大した違いはないような印象を受けますが、実際に時間数に換算してみると、稼働率 99.9% の約8時間と稼働率 99.999% の約5分では大違いです。

ですから、基本的には稼働率が高いほうが、圧倒的に安定しているということができます。

ただ、一応注意しておきたいのは、この稼働率の計算から除外する条件をつけているところも多いという点です。

例えば、「メンテナンス時間」や「サーバーの高負荷による障害」、「5分以内に復旧した障害」などを除外しているケースがあります。稼働率を見るときには、こういった例外条件が書かれているかについても、あわせてチェックしたほうがいいでしょう。

また、月単位などで過去の稼働率の実績値を公表している会社もありますので、公式サイトでチェックしてみるといいでしょう。


品質保証制度(SLA)

では、稼働率100% のサーバーというのはありえるのでしょうか。

少なくとも共用サーバーでは、100% の稼働というのはありえません。

サーバーというのは、広い意味では私たちが日常的に使用しているパソコンと同じものです。日ごろ使っているパソコンも長時間使っていたらフリーズしたり、多数のアプリケーションを起動するとシャットダウンするなど、なんらかの不具合が発生しますね。

ですから、サーバーも同じように過剰な負荷がかかったりすると動作を停止することがありえますし、特にハードディスクなどは消耗品ですので、使い続けていればいつかは破損します。

もちろん、サーバーは長時間の稼働に最適化されたハードとソフトが用いられていますので、個人で使うパソコンに比べるとそう簡単に稼働が停止することはありません。また、データセンター側は常時監視をし、トラブルに事前に対処することで安定して運用できるようにもしています。

それでも、すべてのトラブルを防ぐことはもちろん難しいと言えます。

ただ、稼働率を補てんする意味で、品質保証制度(SLA)というものがあります。

本来 SLA は「Service Level Agreement」の略で、SLA という言葉自体はレンタルサーバー独自の用語という訳ではありません。サービス提供者が、サービス契約者に対して、どの程度の品質を保証するかをまとめた契約のようなものです。

一般的にレンタルサーバーにおける SLA は、「稼働率が100%に満たなかった場合に、(主に月単位で)あらかじめ規定された料金を返金する」旨の取り決めを指していることが多いです。

SLA は文字通りの意味での 100% の稼働を保証するわけではありませんが、当然返金までするのですから、高い稼働率を実現できる自信がある、と見ることはできるでしょう。

なお、SLA についても、稼働率を換算する上での細かい条件が付いていることが多いため、どこの SLA も同じ条件ではないという点には注意したほうがいいでしょう。

また、SLA があれば稼働率も高い傾向があるとはいえますが、実際には SLA があっても実際の稼働率は SLA がないレンタルサーバーよりも低いということもありますので、SLA という言葉だけを安易に信用せず、実際の稼働率と SLA をあわせてチェックし、サーバー自体の安定稼働の目安として見る必要があります。


障害情報

以上のように、稼働率と SLA がサーバーの安定度を知るための大きな目安にはなりますが、実際にサーバーがどの程度止まっているかを、公式サイトの障害情報でもチェックしてみましょう。

レンタルサーバーの公式サイトでは、トップページやサポートページなどでサーバー上で発生した障害情報が確認できます。障害情報には、いつどの収容サーバーで、どのような障害が発生していたのか、といった情報が記載されています。

この障害情報には、サーバーのハード的な破損による物理的なトラブルだけではなく、外部からの攻撃や内部的な高負荷などから発生する障害も記載されています。

ここでチェックしたいのは、どのくらいの頻度で障害が発生しているか、またその障害がどの程度の間で収束しているのか、といった点です。

たとえ障害が発生していたとしても、短時間で収拾がついていればそれだけ保守力が高いため、万一トラブルが発生しても被害が最小限にとどめられる可能性があることが判断できます。

なお、障害情報にはすべての障害が公開されているとは限りません。公開するか否かについては、おそらく各社なりの基準があると思いますので、障害情報の掲載数が少ないからと言って、必ずしも安定しているとは言えないところもあります。

会社側にしてみれば、障害が発生しているということは運用が安定していないことを公表しているようなものなので、あまり公表したくないでしょう。しかし、ユーザーにしてみれば何らかのトラブルが発生したとしても、それが公開されないのは困りますので、きちんと状況を公表している会社はそれだけ信頼がおけるといっていいと思います。

個人的にはトラブルの内容だけではなく、トラブルの発生原因や実施した対処なども記載されているところはより信頼を置けると感じています。


転送量

データ転送量というのは、閲覧者からのアクセスのリクエストに対して提供した Webサイトのデータ量のことを指します。

共用サーバーの場合、サーバーにより日単位だったり、月単位だったりしますが、この転送量に上限が定められていることが多く、上限を超えた場合には、「503エラー」などでサイトを一時的に表示しないようにします。

この転送量は、文字通り「量」が問題なので、サイト自体のデータが多ければ多いほど、またアクセス数が多ければ多いほど、転送量は増えていきます。また、複数のサイトを運営している場合は、そのサイトすべての転送量を合算したものがその上限に影響します。

これは特に共用サーバーの場合、特定のユーザーの負荷によって、同じサーバーの他のユーザーに致命的な影響がでないようにするための対処です。

また、これはあくまでもユーザー単位での設定なので、同じサーバー内に複数のサイトを設置している場合は、全サイトの合計数になります。

一昔前は、この転送量の上限を超えた場合に、上限を超えた容量ごとに課金が発生することもありましたが、現在はほとんどの会社で課金されることはなくなってきました。ただ、エラーでサイトが表示できなくなったり、継続する場合はプラン変更等を促されることはあります。

なお、「転送量が無制限」のサーバーも増えてきましたが、これは必ずしも上限が一切ないということを保証しているわけではなく、「利用しているプランを常識的なレベルで利用している範囲では問題ない」、という程度の認識が妥当だと思います。「場合によっては制限するケースもある」というような細かい注記が記載されていることもあります。

そのため、ある程度のレベルの転送量が継続して発生するようになったら、アクセスを制限されてサイトの表示に影響が出たり、サーバーの移転などを促される可能性もあると思いますので、文字通りに取りすぎないようにしましょう。

また、共用サーバーの場合、転送量無制限、イコール、同じサーバーに大量の通信を行う可能性のあるユーザーが複数いる可能性があるということになりますので、必ずしも無制限がいいとも言えません。むしろ、転送量に制限があるほうが、ある程度の安定を実現できる可能性が高い、とみることもできる、という意見もあります。


同時アクセス数(同時接続数)

転送量と同様に、同時アクセス数(同時接続数)の限界を定めているところもあります。これは同時に何人のユーザーが自分のサーバー内のサイトを閲覧できるか、という上限値です。

こちらも転送量と同様、あくまでもユーザー単位での設定なので、同じサーバー内に複数のサイトを設置している場合は、全サイトの合計数になります。

同時アクセス数の上限については公表していないところが多いですが、共用サーバーであれば転送量か同時アクセス数のいずれか、もしくは両方で条件が設定されていると思います。中には、具体的に数値では決めておらず、サーバーの負荷状況を見ながら、随時調整を行っているという会社もあるようです。

上限値が設定されている理由は転送量と同じで、特定のユーザーの負荷によって、同じサーバーの他のユーザーに致命的な影響がでないようにするためです。



なお、近年 Twitter や Facebook などのソーシャルメディアによる拡散により、以前にはなかった急激なアクセス増が発生するようになってきました。その対策として、一時的にこの転送量や同時アクセス数を増やす機能を持っているサーバーもあります。

例えば、さくらのレンタルサーバーの「リソースブースト機能」やロリポップの「同時アクセス数拡張」機能などです。

ただ、これはあくまで一時的な増加に対応するもので、使用した後はしばらくの間使えなくなったりしますので、根本的な対策にはならないことは覚えておきましょう。


サーバーに対する負荷による制限

同時アクセス数や転送量が上限に達していなくても、サーバーに対する負荷によって、サイトの表示ができなくなることがあります。

例えば、実際のアクセス数が少なくても、その処理を行う際にサーバー内で処理される情報量が多ければ、CPU やメモリの稼働が増えます。

特に WordPress は動的なサイト表示を行っているため、外部からのリクエストがあると、そのたびにデータベースにアクセスして情報を取得し、サイト情報を形成してから閲覧者にWebサイトのデータを送り出します。(このあたりの仕組みについては、こちらの記事で概要を説明しています)

それだけ多くの処理を複数の閲覧者に対して同時に行うと、それだけ CPU やメモリなどに大きな負荷を与えますので、他のユーザーにも影響を与えることになりますので、制限をされてしまうことになるわけです。

なお、このサーバーへの負荷については、サイトのデータをその都度リアルタイムで構築するのではなく、あらかじめ構築したデータを一時的に保存しておいて閲覧者に送り出す「キャッシュ機能」を利用したり、リアルタイムで処理を行うプラグインなどを停止したりすることで軽減することができます。


バックボーンとサーバー毎の回線速度

バックボーン」とは、データセンターに接続しているインターネットの基幹通信回線のことです。

サーバーの安定運用には、このバックボーン回線も重要です。サーバーが送受信するデータが通っていくのがこのバックボーンのため、十分な通信量が確保できなければ、通信に支障をきたします。

また、大容量であるだけではなく、複数の回線業者の回線を利用できるようになっていること(冗長化)も重要です。

インターネットの回線自体にもトラブルが発生します。そのため、一つの回線に障害が発生したときに、他の回線業者に切り替えられるようになっているか、というのもチェックのポイントです。

つまり、バックボーン回線が大容量であること、さらに複数の回線業者の回線が利用できること。そして、基本的には、回線の容量は大きければ大きいほどいいし、使用できる回線業者も多ければ多いほどいい、といえるでしょう。

レンタルサーバーによっては、「大容量・国内最大級」とだけしか書いていないこともありますが、利用している回線業者などの詳細や接続されている回線の容量なども詳しくマップにして公開している会社もありますので、チェックしてみるといいでしょう。

ただ注意したいのは、公式サイトに記載されているバックボーンの回線速度が高速だとしても、それはあくまでもデータセンター全体、もしくはその会社のサーバー全体で使用できる回線の容量でしかありません。

バックボーンの回線速度が速くても、それだけ接続しているサーバーの数が多かったり、利用しているユーザーが多ければ、それだけ各ユーザーが利用できる範囲(帯域)が限定されることになります。同じ家の中で複数の端末で同時にネットを使うと、速度が遅くなるようなイメージですね。

逆に、カゴヤのように数値的には小さくても、自社でデータセンターを持っていて運用しているようなケースでは、規模に見合っただけの十分な帯域を確保できている場合もあります。

なお、公表しているところは少ないのですが、サーバーごとに利用できる回線速度がどのくらいなのかもチェックしましょう。また、エックスサーバーのように、バックボーンの帯域を常に監視して、利用率の 50% を目安に随時拡大していると公表しているところもありますので、そういった記述をチェックしてみるといいでしょう。


収容人数

共用サーバーは、複数のユーザーが1台のサーバーに同居しています。そして、そのサーバーの CPU やメモリ、ハードディスクなどをそのユーザーで同時に使用しています。

その1台のサーバーを利用しているユーザーの数を、そのサーバーの「収容人数」と呼んでいます。

一人当たりの処理が少なかったとしても、同時に利用する人数が多ければ多いほど、サーバーへの負荷は高くなりますので、サーバーのスペックが同じであれば、収容人数は少ないほうが安定しやすいと言えます。

逆に言えば、収容人数が多くても、スペックが高いサーバーを使用していれば、収容人数が少ないサーバーよりも処理速度が速いということもありえます。

なお、サーバーの収容人数は公表していないところが多いです。


同居人の影響

また、収容人数が多くても、同居している人の差による影響もあります。

同じサーバーに収容されている人が、多くのリソースを使用するような使い方をしていると、それだけ自分の処理にも影響があります。

私たちが日常的に使っているパソコンでも、多数のアプリケーションを同時に使用していると、動作が重くなったり、フリーズしたりすることがありますね。

軽いアプリケーションであればいくつも起動しても問題ありませんが、画像や動画処理のソフトなど、大量の処理を必要とする重いソフトを立ち上げると、他のソフトも動作が重くなります。

それと同じ状況が、共有サーバーでも発生します。

ただ、同じサーバーにどのような人が収容されるかというのは、運でしかありませんので、事前にチェックすることはできません。そのため、まずは試用期間で実際の負荷状況をチェックするようにしましょう。

ただ、中には「エックスサーバー」のように、負荷が極端に高いサーバーにあたってしまった場合に、他のサーバーに移行させてもらえるような救済策を持っているところもあります。心配であれば、そういったサーバーを使用するといいと思います。


安定性チェックのまとめ

以上、安定性に関連する項目を見てきました。チェックする項目は以下の通りです。

    ・稼働率
    ・品質保証制度(SLA)
    ・障害情報
    ・転送量
    ・同時アクセス数(同時接続数)
    ・サーバーに対する負荷による制限
    ・バックボーンとサーバー毎の回線速度
    ・収容人数
    ・同居人の影響

読んでみてわかると思いますが、一概に稼働率や転送量が高ければいい、SLA があれば大丈夫、というわけではないということはわかったと思います。

しかし、こういった情報をチェックせずに、本物かどうかわからないような口コミなどを当てにしてサーバーを借りると、あとで後悔することになります。

ですから、まずは公式サイトに書かれている以上のポイントをしっかりチェックしたうえで、試用期間などを利用して実際の動作を確認し、その両方を総合的に判断することが重要です。

仕様をじっくりチェックすると色々と見えてくるものもありますので、しっかりと各ポイントをチェックしましょう。

安定性の高いおすすめのレンタルサーバー

安定性の高さでポイントが高いのは、NTT PC Communications の WebARENA。NTT 系列であることも、ユーザーに大きな安心感をもたらしてくれます。

マルチドメイン数とデータベース数が少なめのため、安定して運用したい少数のサイトで利用するのがベストです。また、料金に比してディスク容量も大きいため、残りの領域は WebDAV 機能を利用してオンラインストレージとして活用できます。

また、最もバランスがよく、コストパフォーマンスも高い、総合力で1位のエックスサーバーもおすすめです。